2009 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌と喫煙との関係:タバコ煙成分と核内受容体・応答遺伝子との関連
Project/Area Number |
20790271
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三木 康宏 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 助教 (50451521)
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Keywords | 肺癌 / 喫煙 / 核内受容体 / エストロゲン / CYP19 |
Research Abstract |
肺癌組織における核内受容体と喫煙の関係を明らかにするため次の解析を行った。タバコ煙成分の核内受容体(NRs)への結合能の影響は、DMSO中に抽出した煙成分(cigarette smoke condensate : CSC)を用いた。HEK293に転写因子であるNRs[androgen receptor、progesteron receptor、estrogen-related receptor(ERR)α、ERRβ、ERRγ, peroxisome proliferator-activated receptor(PPAR)α、PPARβ、PPARγ]とそれぞれの認識配列(転写開始に必要な配列を含む)を導入し、luciferase(Luc)assayを行った。いずれの核内受容体においてもコントロールと比して有意なLuc活性の増加はCSC添加によって認められなかった。しかし、ERRαに関してはagonistであるdiethylstilbestrolによる転写を抑制するantagonist作用が観察された。昨年度は肺癌組織におけるCYP19発現と喫煙率との正相関を報告したが、この機序としてサイトカインの関連について検討を行った。CYP19誘導性サイトカインであるIL-6およびoncostatin Mは肺癌培養細胞A549のCYP19発現を誘導し、これらの誘導は各サイトカインの中和抗体によって抑制された。以上のことから、CSCはERαに対してagonistとして(昨年度報告)、ERRαに対してはantaginistとして作用することでエストロゲン環境を撹乱するものと考えられた。また、炎症性サイトカインを介してCYP19を誘導し、局所でのエストロゲン合成を促していると考えられた。近年、肺癌におけるエストロゲン依存性の増殖が注目されているが、喫煙はこのエストロゲン依存性を直接的・間接的に助長すると示唆される。
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Research Products
(4 results)