2009 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的遺伝子発現解析を用いた前立腺癌における癌・間質相互作用の解明
Project/Area Number |
20790275
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森川 鉄平 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教 (80451772)
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Keywords | 前立腺癌 / 間質 / 遺伝子発現解析 |
Research Abstract |
前年度に行った網羅的遺伝子発現解析により、前立腺癌間質細胞においてペリオスチンの発現が亢進していることが明らかになった。さらに、組織マイクロアレイを用いた免疫組織化学的検討により、前立腺癌手術検体における間質ペリオスチンの発現強度と臨床病理学的因子との相関を検討した。前立腺癌間質におけるペリオスチンの発現強度と、術前病期、グリソンスコア、前立腺被膜外浸潤、精嚢浸潤、リンパ節転移、術後生存率との間に有意な相関は認められなかった。すなわち、前立腺癌間質におけるペリオスチンの高発現は、発癌において早期から起こる変化であることが示唆された。さらに、ペリオスチン発現は、浸潤癌周囲の間質細胞のみならず、前癌病変である前立腺上皮内腫瘍の周囲の間質でも認められることがあった。ペリオスチンは前立腺癌発癌の早期において、パラクライン作用を介した上皮間質相互作用に重要な役割を果たしている可能性がある。前立腺癌間質で特異的に発現亢進しているペリオスチンが前立腺癌の新たな診断マーカーになりうるかどうか、前立腺生検検体を用いて検討した。生検検体における微小病変は癌かどうかの確定診断が困難なことが少なくないが、生検標本上微小な癌であっても、癌周囲の間質に強いペリオスチン発現が認められ、診断マーカーとしての有用性が示唆された。ただし、良性病変である異型腺腫様過形成でも染色されることがあり、診断マーカーとしての有用性についてはさらに検討する必要がある。
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