2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790279
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
浅野 直子 Shinshu University, 医学部, 委嘱講師 (90467192)
|
Keywords | 悪性リンパ腫 / ホジキンリンパ腫 / 治療抵抗性 / 細胞傷害性分子 / EBウイルス |
Research Abstract |
ホジキンリンパ腫(cHL)は、単核および多核巨細胞の腫瘍細胞が反応性細胞を背景に出現することを特徴とし、その腫瘍細胞は濾胞中心B細胞由来であるとされている。また化学療法に奏功し高い完全貫解率を示すことで知られるが、標準治療法に対し治療反応性の悪いものは存在し、その例としてTマーカー陽性のホジキンリンパ腫、またEBV陽性ホジキンリンパ腫の存在が挙げられる。今回の研究は難治性ホジキンリンパ腫の特徴をまず臨床病理学的に検討することにある。細胞傷害性分子(CM)陽性cHLはCM陰性cHLと比較し、病理形態学的にはほとんど相違を認めないもの、PAX5というB細胞マーカー(本来cHLでは陽性となる)が陰性になり、また臨床的にCM陰性cHLと比較し有意に予後不良を示した。当検討は、米国血液学会(ASH:ニューオーリンズ)においてポスター発表を行ない、現在論文化中である。また、これらの難治症例の由来細胞の同定を検討中である。マイクロダイジェクション法を用いたDNA抽出法でのIgHおよびTCR_γのクロナリティー検索は難渋し、DNA抽出の他の方法を検討中である。そのひとつとしてMACS(Magnetic Cell Sorting and Separation of Biomolecules)を利用しCD30陽性細胞の分離する方法がある。まずパラフィン切片から細胞を分離し、その細胞にCD30の発現が保持されていることを免疫染色にて確認した上で、上記MACSを使用し磁気ビーズに反応するCD30+細胞を選択的に回収する。CD30+richな分画のゲノムDNAを抽出キット(QIAGEN DNA extraction kitなど)で分離抽出する。貴重症例であり検体がホルマリン固定パラフィン切片上でのみであるため、上記方法によりホジキン細胞由来のDNAの抽出を検討中である。また、EBV陽性ホジキンリンパ腫に関しては、2009年Blood誌にその臨床病理学的検討を掲載し、また血液腫瘍科において紙面発表を行った。当検討は2010年病理学会学術奨励賞を受賞した。
|