2009 Fiscal Year Annual Research Report
消化管及び膵臓カルチノイド腫瘍における神経系中間径線維の発現様式と悪性度の検討
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20790281
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
石田 光明 Shiga University of Medical Science, 医学部, 助教 (00464173)
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Keywords | 消化管カルチノイド腫瘍 / 膵臓内分泌腫瘍 / 神経系中間径線維 / claudin |
Research Abstract |
本邦で消化管カルチノイド腫瘍の多くを占める直腸カルチノイド腫瘍における神経糸中間径線維の発現について検討した。転移の見られない直腸カルチノイド腫瘍では、びまん性にIII型神経系中間径線維であるペリフェリンの発現が観察されるが、転移を示した直腸カルチノイド腫瘍ではペリフェリンの発現が喪失する症例が多いことを報告した。また、直腸とともに下部消化管カルチノイド腫瘍の好発部位のひとつである虫垂カルチノイド腫瘍では、IV型神経系中間径線維であるαインターネキシンが、ペリフェリンとともにびまん性に共発現していることを新たに見出した。直腸では転移の見られないカルチノイド腫瘍では全例でペリフェリンの発現が見られるのに対し、αインターネキシンは約半数程度の症例の一部の腫瘍細胞にしか発現が見らない。以上のことから、カルチノイド腫瘍の発生部位により、神経系中間径線維の発現パターンが異なることを明らかにした。また、膵臓カルチノイド腫瘍では、αインターネキシンの発現が見られるのに対し、ペリフェリンの発現は見られないことを明らかにした。 また、直腸カルチノイド腫瘍におけるtigh junction構成分子であるclaudinの発現について検討した。直腸カルチフイド腫瘍ではclaudin-2, -3, -4の発現が全例で観察された。膵臓内分泌腫瘍ではclaudin-3の発現が観察されるものの、claudin-2, -4は陰性であり、また肺カルチノイド腫瘍の多くはclaudin-2, -3, -4のいずれの発現もみられないことから、内分泌腫瘍においてclaudinの発現パターンが発生部位により異なることを明らかにした。Claudin-3, -4は細胞障害性を示すClostridium perfringensのenterotoxinの受容体であることが判明している。これらの受容体を発現している腫瘍において、このenterotoxinが新たな治療のターゲットになるのではないかと、最近考えられている。直腸カルチノイド腫瘍は直径1cm未満の小さな病変であっても、肝臓などに転移を示す症例が稀ではなく、われわれの直腸カルチノイド腫瘍におけるclaudin分子発現の知見は新たな治療につながる可能性があるものと考えられる。
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Research Products
(4 results)