2009 Fiscal Year Annual Research Report
アレイCGH法による早期胃癌におけるゲノムコピー数異常の網羅的解析
Project/Area Number |
20790286
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
塚本 善之 Oita University, 大分大学医学部, 助教 (00433053)
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Keywords | 早期胃癌 / 胃腺腫 / ゲノムコピー数異常 |
Research Abstract |
進行胃癌におけるゲノム異常は多数報告されているが、粘膜内胃癌(Carcinoma in situ ; CIS)におけるゲノム異常を網羅的に解析した報告は無い。さらに、胃腺腫の組織型とゲノム異常の関係についての報告はこれまでに無い。本課題において、私はCIS20例、胃腺腫をHigh-gradeとLow-gradeそれぞれ13例と7例、全て合わせて40例のゲノム異常をアレイCGH法により解析した。CISにおいてもっとも高頻度に検出されたゲノム異常は8番と20番染色体長腕の増幅(それぞれ85%と50%)、5番染色体長腕と17番染色体短腕の欠失(それぞれ50%)であった。この結果から、これらのゲノム異常が胃癌の発生に関与していることが示唆された。さらに、High-gradeとLow-gradeのそれぞれの胃腺腫でゲノム異常のパターンが全く異なっていることを発見した。High-grade胃腺腫では8番染色体短腕と7番染色体の増幅が高頻度に検出されたのに対し、Low-gradeの胃腺腫では5番染色体長腕の欠失と7q21.3-22.1の増幅のみ高頻度に検出された。特にHigh-gradeで高頻度に検出された8番染色体短腕と7番染色体の増幅はLow-gradeでは全く検出されなかった。興味深いことに、High-gradeとLow-gradeではHigh-gradeの方が胃癌へ進行する確立が高いことが分かっている。この結果から、8番染色体短腕と7番染色体の増幅は胃癌の初期の悪性度に関与している可能性を示唆している。本課題で得られた結果は、胃癌の初期発生に関わる分子メカニズムを解明するうえで、重要な情報になると考えられる。この結果は、論文としてまとめ、病理学雑誌へ投稿した(Journal of Pathology, 2010, 221, 96-105)。
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