2008 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患におけるADAM分子を介した新規炎症機構の解明
Project/Area Number |
20790291
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
下田 将之 Keio University, 医学部, 助教 (70383734)
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Keywords | 病理学 / 細胞・組織 / 炎症 / 大腸 |
Research Abstract |
ADAM(a disintegrin and metalloproteinase)は、ヘビ毒メタロプロテアーゼおよびディスインテグリンと相同なドメインを持つタンパク質群の総称である。本研究課題では、特発性炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)に焦点を当て、ADAM17による膜型TNF-αのshedding→血管内皮細胞でのADAM28の発現誘導→ADAM28/PSGL-1を介した白血球の血管外遊走促進というADAM分子を介した新規の炎症調節機構の可能性を検討した。はじめに、血管内皮細胞におけるADAM28の発現調節機構を明らかにするために、培養ヒト血管内皮細胞を種々のサイトカインで刺激し、ADAM28発現誘導因子を検索した。これまでに、我々はヒト培養血管内皮細胞でのADAM28発現誘導にTNF-α刺激が重要であることを明らかにしているが、ADAM28はTNF・αのほか,IL-1α、PMAといった炎症性サイトカイン刺激によりprotein kinaseCの活性化を介して発現誘導されることが明らかとなった。さらに、PSGL-1を発現する前骨髄性白血病細胞株HL-60細胞をこれらのADAM28発現誘導因子で刺激したHUVEC細胞由来の培養液とインキュベートし、固相化P-selectinへの接着実験を行うと、HL-60細胞の固相化P-selectinへの接着能はHUVEC細胞由来ADAM28に依存して特異的に促進した。以上のデータは、ADAM28が炎症部位の血管内皮細胞により発現され、炎症局所における白血球浸潤制御に関与している可能性を示唆している。
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