2008 Fiscal Year Annual Research Report
LPS誘発急性肺障害発症機序におけるVEGF, PARsとエンドセリンの関与と制御
Project/Area Number |
20790296
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
JESMIN Surbrina Research Institute, International Medical Center of Japan, 遺伝子診断治療開発研究部, 室長 (60374261)
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Keywords | sepsis / lipopolysaccharide : LPS / acute lung injury : ALI / acute renal failure : ARF / protease-activated receptors : PARs / PAR2-blocking peptide / vascular endothelial growth factor : VEGF / endothelin |
Research Abstract |
Lipopolysaccharide(LPS)により発現誘導された「Protease-activated receptors (PARs)がPARS自身による凝固・炎症反応増強機序に加えて、VEGFの発現誘導あるいはVEGF発現抑制からさらなる炎症反応増強とアポトーシスにより敗血症性臓器不全発症に深く関わっている」、という仮説を証明することを目的として研究を遂行した。 2008年度は、脳、腎臓を標的臓器とした研究から開始した。LPSの腹腔内投与により誘発される両臓器障害モデルの解析により、PAR1, 2, 3, 4蛋白がこれらの2臓器に発現すること、さらにRT-PCRを使用してmRNA発現が同時に見られることからこれらPARsの発現が転写段階で調節を受けてLPSによる発現誘導が起こることを確認した。また、同時に炎症性サイトカイン(TNF-alpha)に加えてTissue factor, thrombin, FVII, FX, fibrin, t-PA, PAI-, D-dimer等の凝固線溶系諸因子の同時発現を確認し、PARsを介した炎症凝固反応連関の存在を証明した。これらの連関が標的とした2臓器の機能不全機序に関与していたが、PAR2 blocking peptideの使用が腎臓機能障害を改善することも確認された。 以上の実験結果に基づき、更に急性肺障害(acute lung injury : ALI)に関する解析を行った。即ち、ALI肺では、VEGF発現に変化が認められるか否か、VEGF発現の変化がALI発症機序に関与するか否かを検討した。LPS投与後、ラット肺には経時的なVEGFタンパク発現の低下、VEGF受容体発現の変化(Flt-1増加、Flk低下)が誘導され、これらの変化はアポトーシス関連タンパクであるcaspase 3, BAX, Bcl2, pAktの変化を同時に伴うことを確認した。以上の結果からVEGF情報伝達経路の変異はLPS誘発性アポトーシスを通じてALI/ARDSの発症に関連することが示唆された。
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Research Products
(7 results)