2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790297
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
齋藤 謙悟 Chiba University, 大学院・医学研究院, 助教 (70451755)
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Keywords | シンドビスウイルス / 腫瘍溶解 / 構造蛋白 / 癌 |
Research Abstract |
本研究は、シンドビスウイルスを新規腫瘍溶解性ウイルスとして癌治療へ応用するために、腫瘍溶解メカニズムの解明を目的としている。今年度は、前年に引き続き、我々が分離同定した悪性腫瘍細胞株で選択的腫瘍溶解性を示すシンドビスウイルス(Sindbis virus genomic RNA, 26S messenger RNA reagion, complete sequence, ov-100 variant)の各構造蛋白遺伝子(カプシド蛋白遺伝子capsid、エンベロープ蛋白遺伝子E1,E2)発現ベクターを、さらに多くの各種悪性腫瘍細胞株(扁平上皮癌、神経芽腫)に導入し、細胞傷害性の観察と測定を行なった。各構造タンパクの細胞傷害率は、扁平上皮癌細胞株に対して、E1、E2がそれぞれ70-80%であった。また、U-V不活化シンドビスウイルスで傷害性を示した神経芽腫細胞株に対しては、E2が40%であったが、E1ではより高い50-60%であった。E1、E2による細胞傷害は、ウイルス感染時と同様にアポトーシス様であった。これまでに、E1の機能には膜融合能の報告はあるが腫瘍傷害性は知られていない。そこで、E1蛋白の新たな機能の責任部位同定を行うために、E1の膜融合ドメインあるいは膜貫通ドメインの欠失株を作製し、同様に細胞傷害性を検索したが有意な差は見られなかった。以上の結果から、シンドビスウイルスの腫瘍選択的溶解性の要因には、新たに同定されたE1の腫瘍傷害性が関わり、その機能にはE1全長タンパクの構造が必要であることが確認できた。また、今後、E1、E2のコンポーネントを新規抗腫瘍製剤に応用可能であることが示唆された。
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