2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790307
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
福島 剛 University of Miyazaki, 医学部, 助教 (10452913)
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Keywords | 遺伝子 / 癌 / 細胞・組織 / 病理学 / 脳神経疾患 |
Research Abstract |
膠芽腫(Glioblastoma)は、著明な浸潤性増殖と血管新生を特徴とする悪性脳腫瘍であり、近年の脳外科手術技術の向上、抗癌剤の進歩にもかかわらず、2年生存率が30%にも満たない不治の病である。本研究は、膠芽腫で高発現しているが、その意義や機能が未だよくわかっていない遺伝子を解析し、その下流または上流のシグナル伝達に関わる新規機能遺伝子を探索して、膠芽腫の治療標的を見出すことを目的とした。これまでの解析で、IGFBP-2はCD24の上流にあって、膠芽腫の浸潤性増殖を促進していること、CD24はIGFBP-2による浸潤性増殖の唯一の実行因子ではなく、約40%の膠芽腫で発現していて浸潤を促進していることがわかった。IGFBP-2、CD24を発現している細胞では、いずれのノックダウンによっても、膠芽腫の浸潤が抑制され、ヌードマウス脳内移植モデルにおける生存期間が延長した。IGFBP-2およびCD24、それぞれのノックダウン膠芽腫細胞のcDNAマイクロアレイ解析によって、それぞれの遺伝子抑制に連動して発現低下する遺伝子群、上昇する遺伝子群、がそれぞれ数十遺伝子得られており、IGFBP-2およびCD24は全体として、癌遺伝子、増殖促進因子、浸潤促進因子を促進し、癌抑制遺伝子を抑制していることがわかった。現在、得られた遺伝子のノックダウン、強制発現を試みて、それらが膠芽腫治療の分子標的となり得ないか解析している。また、IGFBP-2のプロモーターを利用したexpression cloning法(forward genetics法)によって、IGFBP-2を正に制御している遺伝子候補が約30遺伝子得られており、その内、TPM3、DKK1はやはり、膠芽腫の悪性形質を促進していた。
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