2008 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症モデル動物を用いた疾患危険因子の同定とその治療薬の開発
Project/Area Number |
20790309
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
中川西 修 Tohoku Pharmaceutical University, 薬学部, 助教 (50296018)
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Keywords | 神経発達障害 / 統合失調症モデル動物 / 前頭前皮質 / ニューレグリン / erbB4受容体 |
Research Abstract |
本年度、神経発達障害仮説に基づいた統合失調症動物モデルである幼若期腹側海馬(neonatal ventral hippocampal ; NVH)障害ラットの前頭前皮質領域における統合失調症の危険因子の一つとして最近報告されているニューレグリン-1(NRG-1)レベル及びその受容体であるerbB4受容体のシグナル変化を解明する為、神経化学的手法を用い検討を行った。その結果、以下に示す知見が得られた。 1. 免疫組織化学的染色法により皮質領域のNRG-1レベルは思春期後(生後56日目以降)においてコントロール群と比較しNVH障害群のPrL, Cg1, M2, M1領域で有意な減少が認められた。 2. 免疫プロット法により内側前頭前皮質におけるNRG-1レベルは思春期前(生後35日目)、思春期後いずれにおいてもコントロール群と比較しNVH障害群で有意に減少が認められた。 3. 内側前頭前皮質におけるerbB4受容体レベルは思春期前、思春期後いずれにおいても両群問で有意な差は認められなかった。一方、erbB4受容体チロシンキナーゼのリン酸化は思春期後においてコントロール群と比較しNVH障害群で有意な減少が認められた。 以上の結果より、本年度はNVH障害ラットの前頭前皮質におけるNRG-1/ erbB4シグナリングが低下していることを明らかにした為、そのシグナリング低下がNVH障害の異常行動に関連しているか行動薬理学的に検討を今後行う予定である。
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