2008 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞動態時空間的解析に優れたメダカモデルの作製
Project/Area Number |
20790313
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
長谷川 純崇 National Institute of Radiological Sciences, 分子イメージング研究センター, 研究員 (60415437)
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Keywords | がん / 動物モデル / メダカ / 蛍光イメージング |
Research Abstract |
本年度に達成された研究成果は以下の通りである。 1.メダカがん細胞株培養系の確立 理研バイオリソースよりメダカ黒色腫細胞(OLME-131)を人手し、細胞培養系を確立した。 2.蛍光タンパク質マーカー遺伝子導入とその安定発現細胞株樹立 培養メダカ黒色腫細胞に2種類の緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を導入し、薬剤選択により、GFP安定発現のメダカ黒色腫細胞株を2クローン(MM-EとMM-Z)樹立した。MM-Zの方が蛍光強度が強かったため、こちらの細胞株を中心に以下の実験を行った。 3.蛍光タンパク質マーカー発現がん細胞株のメダカ同種移植 MM-Z細胞を(亜)同系メダカであるHB32Dの腹腔および皮下に移植したところ、メダカ内生体内で増殖することが単一細胞レベルで蛍光実体顕微鏡下に確認された。 4.蛍光実体顕微鏡下での腫瘍増殖進展過程の観察と細胞動態追跡研究 更に詳細な観察を行ったところ、増殖のみならずがん転移も観察された。また、エックス線を照射したメダカにがん細胞を移植すると、増殖率や転移率の上昇等その細胞動態が変化することが認められた。 以上のように、本研究で作製しているメダカがんモデルは、生体内でのがん細胞動態を単一細胞レベルで観察可能であり、従来の動物モデルにはない特徴を有した優れたモデルと考えられる。今後、詳細な解析が進むに連れ、増殖や転移等がん細胞動態の分子的基盤の解明に寄与することが期待される。
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