2009 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞動態時空間的解析に優れたメダカモデルの作製
Project/Area Number |
20790313
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
長谷川 純崇 National Institute of Radiological Sciences, 分子イメージング研究センター, 主任研究員 (60415437)
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Keywords | がん / 放射線生物学 / 動物モデル / メダカ / 蛍光イメージング / 微量元素 / PIXE分析法 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に作製したメダカがんモデルの詳細な解析を行い、以下の成果を得た。 1. 蛍光実体顕微鏡下での腫瘍増殖進展過程の観察と細胞動態追跡研究 蛍光標識されたメダカがん細胞を移植し、そのがん増殖を観察した。移植された100個前後のがん細胞は、移植後1~2週間でやや減少傾向を示したが、その後は増殖し径1ミリを超える腫瘍を形成した。その間、経時的に蛍光実体顕微鏡でがん増殖の様子を直接観察することに成功した。また、一部の増殖巣では、生体内で増殖するがん細胞を単一細胞レベルで観察することにも成功した。このメダカモデルを用いた解析から、移植前に5から10グレイのエックス線全身照射したメダカでは、移植したがん細胞が高率に遠隔転移をすることを見出した。この分子機構は現在のところ不明であるが、このような現象はマウスを使った実験でも観察され、更に、ヒト臨床でも報告されている放射線がん治療後の遠隔転移と共通のメカニズムで起きている可能性があり、このモデルを使った解析により放射線生体影響とがん転移との関連が明らかになる可能性が示唆された。 2. 移植腫瘍のPIXE(Particle Induced X-ray Emission)分析法による微量元素分析 移植がん組織と周辺正常組織の微量金属元素分布を解析するため、PD田分析法による微量元素分析を行った。マンガン、鉄、銅、亜鉛などの金属元素は再現性よく測定することができ、特に、亜鉛が腫瘍組織で高濃度に蓄積していることが示唆された。今後、より定量的な解析を行うことにより、がんと微量金属元素代謝の関連が明らかになる可能性が示唆された。
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