2009 Fiscal Year Annual Research Report
重症マラリア発症に伴う貧血に関わる宿主分子群の解析
Project/Area Number |
20790322
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
畑生 俊光 Gunma University, 医学部, 助教 (60344917)
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Keywords | マラリア / 貧血 / スカベンジャーレセプター / パターン認識分子 |
Research Abstract |
本研究年度では、(1)スカベンジャー受容体強制発現細胞の作製、(2)卵白アルブミン(OVA)およびGFP発現熱帯熱マラリア原虫株の作製を目的としていた。(1)について、以下の3種類のスカベンジャー受容体(SR-A,SR-A/emGFP,MARCO,SRCL)について強制発現細胞を作製した。本研究年度は特にSR-AおよびMARCOについて解析し、加えてpRBCとの接着に必要なSR-AおよびMARCOの分子内構造に関しても検討を行った。研究の結果、これら強制発現細胞株に対して熱帯熱マラリア原虫感染赤血球(pRBC)の接着が認められた。その結果、SR-AとMARCOでは同じ分子クラスに属するにもかかわらずpRBCとの接着に関与する部位が異なることが明らかとなった。このことは、それぞれのスカベンジャー受容体の発現部位の違いも考慮すると、MARCOの介する病態形成機構とSR-Aの介するそれとが異なる可能性が推察され、熱帯熱マラリアの病態形成の複雑さを反映している可能性が考えられた。 (2)に関しては、熱帯熱マラリア原虫用発現ベクターpHC1を入手し、OVAおよびGFP発現ベクターの作製を行った。実験の結果、pHC1/OVAの作製に成功した。一方GFP発現ベクターは大腸菌によるベクターの自律的組み換えが頻発しており、大腸菌の株を変更するなど現在作成中である。pHC1/OVAの作製に成功したことで、今後OVA発現pRBCの作製が可能となり、この原虫を用いることでスカベンジャー受容体を介した貪食細胞によるpRBC貪食のモニターが可能となったことで、貧血発症機構の解析を進めることが可能となった。
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