2008 Fiscal Year Annual Research Report
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20790326
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
矢幡 一英 Nagasaki University, 熱帯医学研究所, 助教 (40467965)
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Keywords | マラリア / インスレーター / エピジェネティック |
Research Abstract |
マラリア原虫に人工的に構築した遺伝子発現ベクターを遺伝子導入すると、予想とは異なるタイミングでの発現や発現そのものが見られない現象が見られた。研究実施者はこれまでに、哺乳類細胞において転写干渉という、遺伝子発現が妨げられる遺伝子領域にインスレーターを導入することで遺伝子発現を制御できることを見出していたが、マラリア原虫においては報告されておらず、インスレーターに着目することでマラリア原虫の転写制御の研究に新しい着眼点から切り込めると考えている。マラリア原虫におけるインスレーター領域を探索するため、インスレーター効果の確認実験のためのプラスミドベクターを構築した。このプラスミドベクターには、マラリア原虫特定時期に発現するプロモーターに蛍光タンパク質をつなげた遺伝子カセットと、薬剤耐性遺伝子カセットが隣接して位置されており、構成上では蛍光タンパク質はマラリア原虫特定時期に発現すると予想されるにもかかわらず、他の時期にも発現がおきたり、発現しなくなる。したがって、蛍光タンパク質発現カセットと薬剤選択マーカー発現カセットとの間に、選定したインスレーター領域候補部位を挿入してマラリア原虫特定時期に発現する蛍光タンパク質を解析することでインスレーターの効果が確認できる。アッセイ系の確認のため、マラリア原虫の排他的発現制御が起こるPfEMP-1領域に存在するDNA配列、Rep20を用いてインスレーター効果を調べた。マラリア原虫にプラスミドベクターを一過性発現させたが、導入したプラスミドベクターのコピー数がマラリア原虫ごとに異なっている可能性があり、インスレーター効果を比較するには難しいため、プラスミドベクターをマラリア原虫のゲノムへ部位特異的導入法により導入し、コピー数を合わせる必要性が出てきた。今後はアッセイ系を部位特異的導入法に改良・確立し、インスレーターの探索を引き続きおこなう。
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