2008 Fiscal Year Annual Research Report
病原性大腸菌の粘膜上皮感染による細胞周期停止の作用機構の解析
Project/Area Number |
20790330
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金 みん秀 The University of Tokyo, 医科学研究所, 特任助教 (50466835)
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Keywords | 細胞周期 / 病原性大腸菌 |
Research Abstract |
本研究では、病原性大腸菌の感染成立に至る過程を、特に各感染過程における宿主細胞の細胞周期制御に関わるエフェクターの機能を明らかにし、感染に果たす役割を解明することを目指す。本研究では、感染成立に重要な役割を果たすと推定される腸管病原性大腸菌(EPEC)のエフェクター(Cif)を解析し、これら粘膜病原細菌の感染成立を抑制する手法の開発につなげる。 平成20年度には(1) EPECのエフェクターCifが感染成立に果たす役割を解析するため、野生型と上記エフェクター欠損株を上皮細胞に感染させ、細胞死誘導能力・細胞接着・細胞周期などを調べた。その結果、野生株感染では細胞周期の進行に以上があることが明らかになった。(2) GFPとの融合蛋白質発現系を作製し、エフェクターの宿主細胞内局在を蛍光顕微鏡で調べた。その結果、GFP-Cifは核に局在することを観察した。特に上記のエフェクターは細胞周期の進行に関わっていると予想されるため、細胞周期依存的に局在の変化を調べることは重要な情報である。最近開発された、細胞周期マーカー遺伝子と様々な蛍光蛋白質との融合蛋白質を安定的に発現する細胞株を用いて、野生株及びCif変異体株を感染させ、蛍光顕微鏡でlive-imagingを観察し、詳しくどの細胞周期に異常があるかを観察する。その結果、G1期-S期移行に異常があることを見いだした。(3) Cifの様々な部分欠失変異体や点変異体を作製し、(1)や(2)の結果から得られたエフェクターの表現型(局在の変化、細胞周期への影響など)を指標として、エフェクターの機能ドメインを決定し、システイン109が活性に大事であることを見いだした。これらの結果からシステイン109をアルギニンに置換したEPECの変異株を作成した。変異株をHeLa細胞に感染させ、細胞周期への影響などを調べた結果、細胞周期停止能がないことを見いだした。以上の結果からCifのシステイン109は細胞周期制御能に重要であることを示唆された。
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Research Products
(3 results)