2009 Fiscal Year Annual Research Report
病原性大腸菌の粘膜上皮感染における細胞周期停止の作用機構の解析
Project/Area Number |
20790330
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金 〓秀 The University of Tokyo, 医科学研究所, 特任助教 (50466835)
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Keywords | 細胞周期 / 病原性大腸菌 |
Research Abstract |
本研究では、病原性大腸菌の感染成立に至る過程を、特に各感染過程における宿主細胞の細胞周期制御に関わるエフェクターの機能を明らかにし、感染に果たす役割を解明することを目指す。本研究では、感染成立に重要な役割を果たすと推定される腸管病原性大腸菌(EPEC)のエフェクター(Cif)を解析し、これら粘膜病原細菌の感染成立を抑制する手法の開発につなげる。 平成20年度の成果からEPEC感染時観察される細胞周期停止は(EPEC)のエフェクター(Cif)によるものであることが明らかになった。21年度には細胞周期停止の分子メカニズムを更に解明した。 (1)Yeast-Two-hybrid法やProtein micro array法によりCifの宿主標的蛋白質の同定を試みた。その結果、いくつか標的宿主蛋白質を同定した。同定した標的宿主蛋白質に対してCifとの結合をin vitro pull-down assay及び免疫沈降を用いて宿主細胞内で結合していることを確認した。(2)同定した標的宿主蛋白質の抗体を作成し、細胞内の局在を調べた結果、GFP-Cifと同様に核内に局在することを見いだした。または細胞周期変動に伴う発現変化を調べた結果、G1-S期にかけて発現がみられ、M期には発現が下がることを見いだした。この結果から、Cifの影響がみられると思われる同じ細胞周期で働いていると考えられる。(3)細胞周期変動に伴う両者の結合を調べることにより、Cifと標的蛋白質の結合が細胞周期にどのように影響をするかを調べた。両者の発現がみられるG1-S期に結合することを見いだした。(4)標的宿主蛋白質と結合できないCifの変異株を作成し、感染させた場合の影響を調べることでその標的宿主蛋白質の結合の重要性を検討した。 本研究の結果から、今までほとんど知られてなかったCifによる細胞周期の停止メカニズムや作用機構の解明につながると思われる。
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