2009 Fiscal Year Annual Research Report
Panton-Valentineロイコシジンの毒素活性発現メカニズムの解明
Project/Area Number |
20790331
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
西山 晃史 Niigata University, 医歯学系, 助教 (80452069)
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Keywords | 市中感染型MRSA / Panton-Valentineロイコシジン / 毒素活性 / 細菌 / 感染症 |
Research Abstract |
市中感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(市中感染型MRSA)は薬剤による選択圧の少ない市中で感染を繰り広げるMRSAである。細胞障害毒素Panton-Valentineロイコシジン(PVL ; LukS-PV, LukF-PV)は市中感染型MRSAの特徴の一つであるが、MRSA感染症(特に、感染・発症メカニズム)における役割は未だ解明されていない。本研究はPVLの毒素活性発現メカニズムの解明、阻害薬等の探索を主目的としている。 (1)PVL産生市中感染型MRSAの家族内感染による再発性膿瘍症例:日本においてPVL産生市中感染型MRSAの家族内感染による再発性皮下膿瘍症例の調査、および分離菌株の分子疫学的解析を行った。 (2)PVLの細胞障害メカニズムにおける細胞膜上のlipid rafts : LukS-PVがヒト好中球膜に結合した後、膜の流動性を利用してlipid raftsに集積してLukF-PVとチャンネルを形成し、好中球を障害することを明らかにした。これまで、LukS-PVのレセプター分子考えられてきたモノシアロガングリオシドGM1以外に、LukS-PVの細胞膜への結合に関与するレセプターの存在が示唆された。一方、単球系THP-1細胞を用いた貪食実験においてPVL産生臨床株が非産生臨床株と比較して、高い細胞内増殖性を示した。PVL産生株感染時とPVL単独作用時のPVLの細胞内局在を比較し、両者でのPVLの作用の違いを探索している。 (3)PVL活性阻害剤の探索:Intravenus immunoglobulin (IVIG)が血中IgG濃度よりも低い濃度(2mg/ml)でPVLの好中球障害活性を阻害することを明らかにした。また、現在(2)のlipid raftsの機能を阻害する効果のあるcholesterol-lowering drug(スタチン等)のPVL活性阻害作用を検討中である。
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Research Products
(14 results)