2008 Fiscal Year Annual Research Report
リステリア主要病原因子に依存した感染宿主細胞からの活性型IL-18誘導機構の解析
Project/Area Number |
20790333
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原 英樹 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (30456892)
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Keywords | Listeria monocytogenes / listeriolysin 0 / caspase-1 / IL-18 |
Research Abstract |
リステリア(Listeria monocytogenes)は、広範な細胞に侵入して細胞質内で増殖する細胞内寄生菌である。本菌は、マクロファージに貪食されても、主要病原因子である膜傷害性タンパクlisteriolysin O(LLO)を産生することで食胞膜を傷害し、細胞質へとエスケープして細胞内殺菌を回避する。また、本菌はマウス感染モデルにおいて重篤な全身性感染を引き起こすが、同時に宿主に極めて強いT細胞依存的獲得免疫を誘導する。このT細胞依存的獲得免疫の誘導には、感染初期に産生されるIFN-γが重要である。しかしながら、リステリア感染における早期IFN-γ産生応答の誘導メカニズムは未だ明らかにされていない。 申請者の所属する研究室では、リステリアのIFN-γ産生誘導因子の探索を試みており、2007年度には申請者がリステリア感染マクロファージにおいて、LLOがIFN-γ産生に寄与していることを報告した。そこで2008年度にはこのメカニズムについて詳細な検討を行った。その結果、LLOがIFN-γ産生誘導因子の1つであるIL-18の産生を促していることが明らかとなった。このIL-18産生亢進はmRNAレベルの変化ではなく、発現後のIL-18成熟化に必要なcaspase-1の活性化によるものであることが明らかとなった。また、このIL-18産生はASCを欠損させると認められないことから、リステリア感染でもinflammasomeが形成されていると考えられる。一方で、近年報告されたIFN-βのIL-18産生における関与も検討したところ、部分的ではあるが、IFN-βを介したシグナルがないとリステリア感染におけるIL-18産生が減弱することが確認された。現在、リステリア感染におけるLLOのIFN-β産生誘導への関与とcaspase-1活性化に繋がる細胞内シグナル経路を検討している。
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Research Products
(9 results)