2009 Fiscal Year Annual Research Report
リステリア主要病原因子に依存した感染宿主細胞からの活性型IL-18誘導機構の解析
Project/Area Number |
20790333
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原 英樹 Kyoto University, 大学院・医学研究科, 助教 (30456892)
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Keywords | 細菌 / 病原因子 / マクロファージ / IL-18 |
Research Abstract |
細菌感染においてcaspase-1の活性化はIL-1やIL-18を含む様々な炎症誘導因子を細胞外へと分泌し、宿主の免疫応答を惹起するための重要なプロセスである。そこで、リステリア感染で誘導されるcaspase-1活性化にNod-like receptors(NLRs)を含むどのような細胞内分子が関与しているのか調べた。まずASC及びcaspase-1欠損マクロファージを用いてリステリア感染で誘導されるIL-18産生にこれらinflammasome構成分子が必須であることを確認した。そこでASC依存的にcaspase-1を活性化するNLRsに焦点を絞りスクリーニングを行ったところ、現在関与が示唆されているNlrp3及びNlrc4の他にAIM2が強く関与するというデータが得られた。このAIM2は近年細胞内DNAセンサーとしての機能が報告されており、細胞内寄生菌であるリステリアのDNAが宿主細胞内で認識されている可能性が考えられる。一方、感染細胞でのcaspase-1活性化に関わる菌側の要因として主要病原因子であるlisteriolysin O(LLO)が関与していることを我々は2008年に報告した。そこで、このLLO分子内のIL-18産生における責任領域を絞り込むために、様々な変異を加えたcytolysinを発現するリステリア株を作製し、そのIL-18産生誘導能を比較したところ、LLOのC末端側は不要であること、つまり細胞傷害活性はIL-18産生誘導には関与していないことが明らかとなった。以上の結果から、リステリア感染を認識する細胞内分子として新たにAIM2の関与が証明され、細菌由来のDNAがリガンドになっている可能性が示唆された。また、LLOはこれらを介したcaspase-1の活性化を細胞傷害活性とは独立して促進させていることが明らかとなった。
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