2009 Fiscal Year Annual Research Report
宿主細胞カスパーゼ活性の制御を介した結核菌のマクロファージ内生存の分子機構
Project/Area Number |
20790334
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
内山 良介 Hyogo College of Medicine, 医学部, 助教 (20456891)
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Keywords | 結核菌 / マクロファージ / 細胞内寄生菌 / カスパーゼ / 炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
前年度に引き続き、結核菌のマウス感染モデルであるBCGと、結核菌と同様に代表的な細胞内寄生性細菌であるリステリアを用いて感染宿主のカスパーゼ応答について解析を行った。これまでの研究により、感染マクロファージではアポトーシス誘導に重要なFas遺伝子発現が誘導され、それを介して炎症性サイトカインIL-18が産生されることを示した。そこで、さらにその機序を詳細に解析する目的で、マウス腹腔細胞を調整し、リステリアを感染させた後、リンパ球応答を調べた所、FasL発現誘導が認められた。そこでリンパ球の役割を明らかにするため、リンパ球を除去してリステリアを感染させたところ、IL-18産生が有意に低下した。このことから、感染によりリンパ球のFasL発現が誘導され、マクロファージのFasシグナル系を活性化することでIL-18産生に至ることが明らかとなった。一方、LPSや加熱死菌体でマクロファージを刺激すると、Fas遺伝子発現が誘導され、さらにFasL発現T細胞株で刺激するとIL-18産生が誘導されることを明らかとしている。そこで、Fasシグナルで活性化された時のマクロファージの細胞死について検討を行った。Fasシグナル系で刺激した後、細胞の形態を電子顕微鏡を用いて観察したところ、アポトーシスに特徴的な核の凝縮や細胞構造変化は認められなかった。以上の結果から、LPSや死菌体で活性化されたマクロファージはFasシグナルによる細胞死に抵抗性であり、カスパーゼ活性化を介して、IL-18産生に至り、宿主防御に作用しているものと考えられた。
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Research Products
(3 results)