2009 Fiscal Year Annual Research Report
腸管上皮バリアを破壊するボツリヌスHAの基質分子の探索及び作用機構の解析
Project/Area Number |
20790336
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松村 拓大 Osaka University, 微生物病研究所, 特任研究員 (00456930)
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Keywords | 細菌 / ボツリヌス / Hemagglutinin / 腸管上皮バリア / transcytosis |
Research Abstract |
1) 細胞間バリア破壊を引き起こすHAの標的分子の探索及び同定 我々はHAの各サブコンポーネントHA1、2、3をrecombinantタンパク質として発現し、再構成することにより、native HAと同等の細胞間バリア破壊活性を再現することに成功している。このrecombinant HAをヒト腸管上皮細胞(Caco-2細胞)に添加し、recombinant HAのタグを用いたpull down法により、HAと特異的に結合する標的分子の探索を行った。その結果、HAと共沈する標的分子候補が得られた。現在、Western blot、質量分析などにより分子の同定を試みている。 2) 生体内(in vivo)における神経毒素および神経毒素複合体(12S毒素、16S毒素)の局在の解析 実際の生体内におけるボツリヌス毒素の吸収メカニズムを明らかにするために、マウス結紮腸管を用い、神経毒素、12S毒素、16S毒素の局在を蛍光免疫染色により解析した。神経毒素および12S毒素は腸管上皮への結合は非常に弱いが、16S毒素は絨毛上皮領域(VE領域)およびパイエル板ドーム領域(FAE領域)に広く結合していた。さらに16S毒素はVE領域において、結合した後、小胞として取り込まれ、多くが細胞apical直下に存在しているのに対し、FAE領域では上記の取り込みとは別に、特定の細胞から積極的に取り込まれ、basolateral側へ移行(transcytosis)している様子が観察された。またその細胞周辺からparacellular markerの流入が確認でき、HAによる細胞間バリア破壊がこの細胞から起こっていることが示唆された。腸管粘膜上皮は多様な細胞により構成されていることが知られているが、この細胞が16S毒素の侵入門戸であることが考えられる。現在、細胞特異的なマーカーを用いた共染色などにより、その細胞の同定を行っている。
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