2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790337
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒田 照夫 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80304327)
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Keywords | Na^+ / H^+アンチポーター / 呼吸鎖Na^+ポンプ / 腸炎ビブリオ / 多剤排出ポンプ / 胆汁酸 |
Research Abstract |
ビブリオ属細菌、特に腸炎ビブリオの環境適応機構に関して解析を行うために、腸炎ビブリオが曝される環境ストレスのうち、Na^+、胆汁酸を挙げ、それらについて解析を進めた。 Na^+に関しては、従来まで研究を進めていたNa^+/H^+アンチポーターだけではなく、呼吸鎖Na^+ポン(Na^+-translocating NADH dehydrogenase)もNa^+耐性に深く関与していることを明らかにした。本研究の開始前は、呼吸鎖Na^+ポンプ破壊株と3つのNa^+/H^+アンチポーターを破壊した4重破壊株は単離できなかったが、破壊方法を工夫することでこの点を克服した。Na^+耐性に対して呼吸鎖Na^+ポンプが関与していることを示した初めての報告となる(投稿準備中)。当初の予想ではイオンチャネルが関与している可能性も考えられたが、今回の実験結果よりその可能性は低いと考えられた。一方で、高濃度NaCl存在下で生育できないトランスポゾン変異株を50株程度分離した。いくつかは呼吸鎖Na^+ポンプ破壊株であった。この結果は、作成した4重破壊株の解析結果を強く支持するものである。その他の株については原因遺伝子を特定していないので、平成21年度に解析を行う。 胆汁酸に関しては、ラットの腸管ループに野生株と遺伝子破壊株を滞留させ、一定時間後の腸炎ビブリオの生菌数(生存率)を調べたが、ほとんど変化はなかった。滞留させる菌数や時間など検討する必要がある。そこでヒトの腸管内の胆汁酸濃度とほぼ同程度の胆汁酸存在下での生存率をin vitroで調べた。その結果、生存率が顕著に減少することを見出した。ラットの胆汁を抽出して同様の実験を行う予定である。 腸炎ビブリオのゲノム情報から推定されるMATE型多剤排出ポンプ9個について解析を進め、6個については大腸菌内で発現させた場合多剤排出ポンプとして機能していることが示唆された。
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