2008 Fiscal Year Annual Research Report
腸管出血性大腸菌の新規DNA修復機構の同定と機能解析
Project/Area Number |
20790338
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
大岡 唯祐 University of Miyazaki, 医学部, 助教 (50363594)
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Keywords | 微生物 / 細菌 / ゲノム / 遺伝子 |
Research Abstract |
全ての生物にとってDNA二本鎖切断(DSB)は、生命の維持に関わる重篤なDNA損傷である。その修復機構として、大腸菌ではRecA組換え酵素を介した相同組換え機構(homologous recombination)は存在するが、相同性のない切断部位を直接結合修復する末端修復機構(non-homologous end-joining[NHEJ]system)は存在しないとされている。これまでに申請者は、O157やO26といった腸管出血性大腸菌(EHEC)に、既知のNHEJ関連因子と異なる全く新しいNHEJ機構が存在する可能性を見出し、さらにEHECのゲノム多様性解析から、その候補として18種類のORFを同定していた。 本研究では、これら18種類の候補ORFに関し、Wanner法を用いて遺伝子破壊株を作成した。さらに挿入配列の一つであるIS629の転移頻度を検出する系を用いて、ISのexcisionとrepairの頻度が低下する、つまり、野生株と比べて修復が起こる頻度が低下するORFの同定を試みた。その結果、遺伝子破壊を行った際に野生株と比べて頻度が明らかに低下するORFを1種類同定することが出来た。また、その候補ORFを発現ベクターにクローニングし、非病原性大腸菌K-12株へ導入した結果、O157株と同様にISのexcisionとrepairの頻度が向上した。これらの結果から、このORFがISのexcisionとrepairの機構に本質的に機能していることが明らかとなった。
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Research Products
(10 results)