2009 Fiscal Year Annual Research Report
病原性大腸菌O157のStx2産生量を規定するStx2ファージの遺伝的特性の解明
Project/Area Number |
20790339
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
小椋 義俊 University of Miyazaki, フロンティア科学実験総合センター, 助教 (40363585)
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Keywords | 感染症 / 微生物 / 毒素 / 遺伝子 / ゲノム |
Research Abstract |
志賀毒素(Stx)は腸管出血性大腸菌O157の主要な病原因子であるが、Stx産生性は株間で大きく異なる。本研究課題では、まず、Stx産生性と進化系統との関係を解析した。全国各地で分離された50株のO157について、Stx1とStx2産生量を測定し、さらに、汎用されている解析手法で各株を5つの系統に分類した。その結果、各株のStx1とStx2産生量にはかなりのバリエーションがみられたが、産生量と系統との間には顕著な相関はなかった。 過去の報告や、我々のこれまでの解析結果から、Stx変換ファージ(以後Stxファージ)は株間で予想以上のバリエーションが存在することが知られており、株ごとのStx産生性の違いは株の系統によるものではなく、保持するStxファージの種類に依存すると考えられた。そこで、産生量の異なる株由来の3つのStx1ファージと5つのStx2ファージの全塩基配列を決定した。配列決定方法は、各株のフォスミドライブラリーを作成し、PCRにてstx1もしくはstx2陽性クローンを選別し、そのクローンのランダムショットガンシークエンシングと、プライマーウオーキング法により、約60kbのファージ全長の配列を決定した。決定したファージ配列について、遺伝子予測と遺伝子の機能アノテーションを行い、完全なゲノム情報を得た。 決定した各ファージゲノムの比較を行ったところ、ゲノム構造や配列に大きなバリエーションが存在することが明らかとなった。現在、産生量とファージタイプとの相関関係を調べるため、配列決定した各ファージについて、約8kb単位でファージゲノム全長を増幅するプライマーセットを作成し、200株のO157について、StxファージのタイプをPCRスキャンニングで解析しているところである。ファージタイプと産生量との相関が得られれば、各ファージの詳細な比較解析を行い、産生量を規定するファージゲノムの特徴を明らかにする予定である。
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Research Products
(10 results)