2008 Fiscal Year Annual Research Report
病原性に関与する抗酸菌糖脂質の生合成及び機能の解析
Project/Area Number |
20790347
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
宮本 友司 National Institute of Infectious Diseases, ハンセン病研究センター感染制御部, 主任研究官 (40392328)
|
Keywords | 抗酸菌 / 糖脂質 / 糖鎖 / 生合成 |
Research Abstract |
非結核性抗酸菌症の代表的原因細菌であるMycobacterium avium comolex (MAC)には糖脂質抗原glycopeptidolipid (GPL)が存在しており、約30種類に及ぶMACの血清型はこれらの糖鎖構造によりそれぞれが規定されている。一方、血清型の違いによりに病原性に差が認められることから、GPLの糖鎖部分が病原性に関与している可能性も指摘されている。しかしながらその機構については未だ多くが不明であることから、本研究では、糖鎖の機能を解明することを目的としてその生合成に注目した。約30種類の血清型の中で、4型及び8型血清型株は最も強い病原性を有するグループに属するが、それらのGPL糖鎖生合成は解明されていない。そこで、両血清型株のGPL生合成遺伝子群についてその解析を行った。8型血清型株からは、これまでに絞り込んだゲノム領域から特異性の高い4.6-kbの遺伝子領域をPCR等により増幅・単離した。本領域に含まれる各遺伝子を非病原性抗酸菌M. smegmatis株に導入し、得られたGPL成分のTLC及びGC/MS分析を行うことにより各遺伝子の機能を解析した。その結果、8型血清型GPLに特異的な糖鎖である4,6-O-(1-carboxyethylidene)-3-O-methyl-glucoseの形成に関与する3遺伝子を同定した。このことは、8型GPLがその他の血清型とは異なる特異的な生合成過程を経ること、さらには、本来8型GPLを生産しない非病原性のM. smegmatis株を8型GPL生産株へと変化させうる事も示している。従って、8型GPLの糖鎖機能を探る上で重要な比較対象株を取得できることになり、今後の機能解析を行う上でも意義があると考えられる。4型GPLについては、一部推定領域の解析を行ったが糖鎖生合成遺伝子の同定には至らなかった。
|
Research Products
(2 results)