2010 Fiscal Year Annual Research Report
病原性に関与する抗酸菌糖脂質の生合成及び機能の解析
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20790347
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
宮本 友司 国立感染症研究所, ハンセン病研究センター感染制御部, 主任研究官 (40392328)
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Keywords | 抗酸菌 / 糖脂質 / 糖鎖 / 生合成 |
Research Abstract |
非結核性抗酸菌症の代表的原因細菌であるMycobacterium avium complex(MAC)の血清型は菌体表層に存在する糖脂質抗原glycopeptidolipid(GPL)の糖鎖部分によって規定される。さらに、血清型の違いが病原性の差を生み出す要因の一つであることが知られていることから、GPLの糖鎖構造がMACの病原性と関連していることが推察された。前年度までに、糖鎖機能の解明を目的としてMAC血清型の中でも病原性が強いとされる4型及び8型血清型について、それぞれのGPL糖鎖の生合成機構を解明した。そこで、本年度はこれらの糖鎖が果たす役割の解明を目指し、組換え株の取得及びそれらの性状解析を行った。血清型GPLを持たないMycobacterium smegmatisへ前年度までに明らかになった4型及び8型GPL糖鎖生合成遺伝子をそれぞれ導入し、菌体表層に4型及び8型GPL糖鎖を発現する組換え株を取得した。比較対象として血清型1型及び2型糖鎖を発現する株も同時に構築した。これらの株を培養、比較した結果、4型及び8型株は、1型及び2型株に比べ、著しく菌体塊を形成する傾向を示した。各糖鎖構造は、1型糖鎖に4,6-O-(1-carboxyethylidene)-3-O-methyl-glucoseが、さらに2型糖鎖に4-O-methyl-rhamnoseが末端糖鎖として結合することによりそれぞれ8型及び4型糖鎖となる。つまり、両末端糖鎖の存在が菌体性状を大きく変化させていることが明らかとなった。菌体の性状は宿主免疫の認識機構に影響を及ぼすことも知られていることから、4型及び8型血清型株の病原性獲得には両糖鎖の構造が一因となっている可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)