2008 Fiscal Year Annual Research Report
酵母内インフルエンザウイルスゲノム複製系を用いた宿主因子の同定
Project/Area Number |
20790349
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
内藤 忠相 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 助教 (50455937)
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Keywords | インフルエンザウイルス / 宿主因子 / 酵母 / ゲノム複製 / 転写 / 逆遺伝学 / RNAウイルス |
Research Abstract |
本研究では、インフルエンザウイルスのゲノム複製に関与する宿主因子を、遺伝学的解析が可能である出芽酵母を用いてスクリーニングすることを目的とする。 これまでに、酵母内にインフルエンザウイルスのvRNPレプリコン(ウイルスゲノムーウイルスタンパク質複合体)をトランスフェクションすることにより、ウイルスゲノムの転写と複製反応が再現できている。しかし、網羅的にまた簡便にウイルスRNA合成に関与する宿主因子をスクリーニングするには、持続的に酵母内でvRNPを発現させる必要がある。そのためプラスミドを用いた発現系を構築しており、vRNP構成因子であるウイルスRNAポリメラーゼサブユニットPB1、PB2およびPAと、NPタンパク質の発現に成功している。現在、ウイルスRNA合成活性の指標となるモデルウイルスRNAの発現を試みている。 また、プラスミド発現系が作製できない可能性も考えられるので、既に確立しているvRNPトランスフェクション法を用いて宿主因子の酵母内スクリーニングおよびその機能解析も行っている。ウイルスRNA合成活性を促進する宿主因子の候補がいくつか同定されており、その中の一つであるヒトPRP18が培養細胞レベルにおいてもインフルエンザウイルスのゲノム複製に関与することが示唆されている。今後、ウイルス因子との相互作用について解析を行い、詳細な分子メカニズムの解明を試みている。 本研究が達成されることにより、網羅的な宿主因子のスクリーニングが可能となり、さらにウイルスゲノム複製・転写反応のメカニズムの解明が大きく進展すると考えられる。また、他のRNAウイルスにおいても応用可能なシステムであると考えられ、ウイルス研究の発展に貢献すると期待できる。
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