2009 Fiscal Year Annual Research Report
酵母内インフルエンザウイルスゲノム複製系を用いた宿主因子の同定
Project/Area Number |
20790349
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
内藤 忠相 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 助教 (50455937)
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Keywords | インフルエンザウイルス / 宿主因子 / 酵母 / ゲノム複製 / 転写 / 逆遺伝学 / RNAウイルス |
Research Abstract |
本研究は、インフルエンザウイルスのゲノム複製に関与する宿主因子を、遺伝学的な解析が可能な出芽酵母を用いてスクリーング解析を行った。これまでに、酵母内にインフルエンザウイルスのvRNPレプリコン(ウイルスゲノムーウイルスタンパク質複合体)を導入することにより、ウイルスゲノムからの転写と複製反応が再現できている。そこで、酵母遺伝子欠損株ライブラリーにvRNPを導入し、ウイルスRNA合成活性に影響を与える宿主遺伝子の探索を行った。その結果、ウイルスRNAゲノムの合成活性を促進する因子として酵母遺伝子のPrp18を同定した。 培養細胞を用いた解析、および生化学的な再構成実験により、ヒトPrp18はウイルス因子の一つであるRNA結合タンパク質のNPと結合することを明らかにした。ヒトPrp18は、NPをウイルスRNAへ効率よくリクルートすることで、vRNP形成を促進することが示唆された。また、Prp18はNPのRNA結合の有無を認識して相互作用することを明らかにした。以上の結果は、ウイルスゲノム複製反応を制御する新規宿主因子の分子メカニズを解明したものであり、新しいウイルス制御法の開発に寄与できる可能性もある。 さらに本研究から、インフルエンザウイルスのRNA合成活性に関与する宿主因子の候補がいくつか見つかっている。今後は、他の候補因子についても詳細な分子メカニズムの解析を行う予定である。
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Research Products
(4 results)