2008 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルスRNP核外輸送の解析とその機構を利用した新規阻害剤の探索
Project/Area Number |
20790355
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
渡辺 健 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (00346909)
|
Keywords | ウイルス / 宿主因子 / インフルエンザウイルス / ヒートショック蛋白質 / Hsc70 / 核外輸送 / 抗ウイルス薬 / 阻害剤 |
Research Abstract |
インフルエンザウイルスはインフルエンザの原因ウイルスであり、H5N1型高病原性トリイフルエンザウイルスのヒトでの流行が懸念され、抗インフルエンザウイルス薬タミフルに耐性のウイルスが2008-2009シーズンには広く日本中で流行している。このため、さらなる抗ウイルス薬、とりわけ薬剤耐性のおきにくいものを開発していくことは社会的要請である。本研究ではインフルエンザウイルスRNP核外輸送の解析とその機構を利用した新規阻害薬の探索を目的として研究を実施した。本年度は、インフルエンザウイルスの増殖に必須である宿主因子、Hsc70の機能解析に着目した。Hsc70は宿主ヒートショック蛋白質であり、ウイルス増殖に必須な蛋白質であるM1と相互作用するがその結合領域は分かっていなかった。そこでHsc70蛋白質の各種欠損変異体を作製しM1との相互作用を明らかにした。Hsc70は、核外輸送シグナル(NES)配列をもつ。宿主因子CRM1は蛋白質のNES配列を認識し、核から細胞質への蛋白質核外輸送を担う因子であるが、Hsc70がCRM1と結合することをプルダウンアッセイにより明らかにした。このことより、ウイルスの遺伝子本体であるRNPは、M1を介してHsc70に結合し、Hsc70に存在するNES配列依存的にCRM1により核外輸送されることが推測された。この核外輸送阻害ができれば有用な抗ウイルス剤になる可能性があるため、阻害剤スクリーニング系の確立およびスクリーニングを行った。その結果、強力に核外輸送を抑制する活性を含む海洋微生物培養上清4種を見いだした。以上の結果はほぼ平成20年度の研究計画どおりに進行することができた。
|
Research Products
(8 results)