2009 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルス子孫RNP複合体の可視化による核-細胞膜間輸送機構の解析
Project/Area Number |
20790358
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
百瀬 文隆 Kitasato University, 大学院・感染制御科学府, 講師 (90332204)
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Keywords | インフルエンザウイルス / RNP複合体 / ライブセルイメージング / モノクローナル抗体 / 細胞内輸送 / 微小管輸送 / タンパク質導入 / 極性輸送 |
Research Abstract |
本研究は、インフルエンザウイルスRNA-タンパク質複合体(RNP)と優先的に結合するモノクローナル抗体(mAb61A5)を主要解析ツールとし、感染細胞核内で複製された子孫vRNPの選択的集合と粒子出芽の場である形質膜頂端面への輸送について、分子レベルで解明する事を目的とした。蛍光タンパク質を融合した既知オルガネラマーカータンパク質を20種類作製し、それぞれ一過性発現細胞で意図した局在を示す事を確認した。これらマーカータンパク質を発現させたMDCK細胞にインフルエンザウイルスを感染させ、mAb61A5を用いた間接蛍光抗体法により子孫vRNPの局在を観察したところ、程度の差はあるが3種類のマーカータンパク質と共局在することが確認できた。このうち2種についてエピトープタグを用いた免疫沈降を行なったところ、vRNPが共沈降することを確認した。これまで、核外輸送された子孫vRNPはHAなどのウイルス膜タンパク質輸送小胞と合流し形質膜頂端面へ運ばれると考えられていた。しかし、我々が作製したmAb61A5および抗HAモノクローナル抗体を用いた蛍光観察の結果、細胞質内の粒状vRNPシグナルはHAの細胞質内シグナルと共局在しない事が明らかとなった。一方、共焦点顕微鏡のZスタックモードにより感染細胞におけるvRNPおよびHAの分布を立体的に観察したところ、HAと子孫vRNPは感染後期の形質膜頂端面においては共局在することが確認できた。ただし両者の頂端面蓄積には時間差があり、vRNPが核外移送後速やかに頂端面へ移行するのに対して、HAは一時的に側底面を含む形質膜全体に局在する事が判明した。これらの観察結果よりvRNPとウイルス膜タンパク質(少なくともHA)の頂端面輸送経路の大部分が互いに異なる可能性が示唆された。
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