2009 Fiscal Year Annual Research Report
水痘帯状疱疹ウイルスがコードするORF49の機能解析
Project/Area Number |
20790363
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Research Institution | National Institute of Biomedical Innovation |
Principal Investigator |
定岡 知彦 Kobe University, 医学研究科, 助教 (00435893)
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Keywords | 感染症 / ウイルス / ウイルス粒子成熟 / ウイルス粒子成熟 / 抗ウイルス薬 |
Research Abstract |
本年度は、水痘帯状疱疹ウイルスのウイルス粒子に存在し、細胞向性に関わる因子であるORF49タンパクと相互作用するウイルス因子である、ORF44タンパクについてORF49タンパクとの相互作用を通した解析を行った。ORF44タンパクは、ORF49タンパクと同様にウイルス粒子に存在するタンパクであるが、一過性の単独発現系においては細胞質に瀰漫性に存在し、ORF49タンパクが局在しウイルス粒子形成の場であると考えられるトランスゴルジネットワークには局在しなかった。しかし、ORF49タンパクとの共発現時にはORF49タンパクとともにトランスゴルジネットワークに集積し、このことよりORF44タンパクはORF49タンパクとの結合を通してウイルス粒子に取り込まれることが推察された。次に、ORF49タンパクとORF44タンパクの相互作用に必要なアミノ酸を同定した。ORF44とORF49はともに全てのヘルペスウイルスに保存される遺伝子であり、その相互作用はいくつかのヘルペスウイルスで報告されているが、その相互作用に寄与するアミノ酸は単純ヘルペスウイルス1型においてはある程度同定されているが、ORF44ホモログタンパクにおいては、詳細な部位は同定されていない。本研究において、ORF44タンパクの一つのアミノ酸がORF49タンパクとの相互作用およびトランスゴルジネットワークへの輸送に必須である事を同定するとともに、このアミノ酸における変異が水痘帯状疱疹ウイルスの感染に致死的であることを見出した。すなわち、ORF44タンパクは水痘帯状疱疹ウイルスの生活環において必須であることを見出し、同定したORF44タンパクにおける一つのアミノ酸がその活性を担っている可能性が示唆される。このことはORF49タンパクとORF44タンパクとの相互作用と通したさらなる解析を行う事で、ヘルペスウイルス全体に共通した感染機構を明らかにするとともに、水痘帯状疱疹ウイルス特異的な感染機構を明らかにし、ORF49タンパクとORF44タンパクに関わる因子が新たな創薬ターゲットとなり得る可能性を示唆する。
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Research Products
(5 results)