2009 Fiscal Year Annual Research Report
癌特異的キラーT細胞活性化における樹状細胞のクロスプレゼンテーション制御機構解明
Project/Area Number |
20790366
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北村 秀光 Hokkaido University, 遺伝子病制御研究所, 准教授 (40360531)
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Keywords | 樹状細胞 / クロスプレゼンテーション / MHC / CTL / サイトカイン |
Research Abstract |
本年度、マウス骨髄由来樹状細胞による癌細胞(EG-7)の取り込みとOVA抗原ペプチドを特異的に認識するOT-1マウス由来CD8+T細胞を用いたクロスプレゼンテーションによる癌抗原特異的キラーT細胞の活性化を評価した。これまでの試験管内培養系で得られた情報をもとに、癌抗原特異的CD8+T細胞の活性化に対して、OK432や他の菌体成分、CpG等のTLR刺激やIL-6等のサイトカイン刺激を細胞培養系に加え、樹状細胞のクロスプレゼンテーション能に及ぼす効果について詳細に解析した。その結果、IL-6刺激存在下では、癌細胞の取り込みが上昇するものの、抗原提示能が減弱する事が見いだされた。一方、TLRを介した刺激やIFN-γを含むタイプIサイトカイン条件下ではCD8+T細胞のサイトカイン産生が増強する系を見いだした。これらの条件下で下流のシグナル分子あるいはエフェクター分子の制御機序を解明したところ、転写活性化因子STAT1を介した神経ペプチドシグナル伝達経路が樹状細胞の機能制御に関与している事が分かった。 次に、前年度で構築したマウス生体内評価モデルによるクロスプレゼンテーション解析を行った。その結果、樹状細胞にある種の菌体成分と仮想癌抗原蛋白(OVA)を取り込ませたあとで、マウスに複数回投与し、生体内における癌抗原特異的CD8+T細胞の誘導および活性化を、OVAテトラマー陽性CD8+T細胞のフローサイトメトリーによる解析した所、生体内でのクロスプレゼンテーションが有為に増強する事を見いだした。 今後、メカニズムに関する詳細な知見を集め、より効果的な癌抗原特異的CD8+T細胞の生体内における誘導システムを確立することで、樹状細胞によるクロスプレゼンテーションを介した癌抗原特異的キラーT細胞の生体内誘導による癌の効率的退縮が期待できる。
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