2009 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチンリモデリング機能を担うGATA3複合体の同定と機能解析
Project/Area Number |
20790367
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
細川 裕之 Chiba University, 大学院・医学研究院, 助教 (60431756)
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Keywords | GATA3 / Th2細胞 / クロマチン / プロテオミクス / アレルギー |
Research Abstract |
Th2細胞はI型アレルギー疾患の発症や病態形成において中心的な役割を果たす。GATA3はTh2サイトカイン遺伝子座のクロマチンリモデリングを引き起すことで、Th2細胞への分化を決定するTh2細胞分化のマスター転写因子であることが明らかになっている。本研究の目的は、クロマチンリモデリングを誘導するGATA3複合体に含まれる機能的制御分子を同定することで、GATA3がどのような分子メカニズムを介して生理作用を発揮するのか?という核心に迫ることである。昨年度までに、Th2細胞の中でGATA3に会合する分子の同定を終え、本年度はGATA3会合分子の中から機能的な分子の絞り込み、および詳細な機能解析を行った。 1.マススペックにより同定されたGATA3会合分子の機能的スクリーニング GATA3会合分子の中から機能的な分子を絞り込むため、siRNAによるノックダウンを行い、Th2細胞の分化に影響を与える分子をスクリーニングした。それと平行して、GATA3会合分子のcDNAをクローニングし、GATA3との会合を免疫沈降法により確認した。この2つのスクリーニングからGATA3に会合し、かつTh2細胞の分化を制御する分子として、抑制性複合体(NuRD complex)の構成分子として知られるChd4を同定した。 2.Th2細胞分化を制御するGATA3会合分子Chd4の解析 Chd4をノックダウンしたCD4T細胞ではTh2細胞への分化が抑制されるとともに、Th1細胞への分化が亢進していた。この結果から、Chd4はGATA3によるTh2サイトカインの活性化のみならずTh1細胞分化の抑制にも関与していると考えられた。また、クロマチン免疫沈降法を用いてChd4がGATA3依存的にTh2サイトカイン遺伝子座に会合していることを明らかにした。以上の結果から、Chd4をTh2サイトカイン遺伝子座に動員することがGATA3によるTh2サイトカイン活性化メカニズムの1つである可能性が示唆された。
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