2009 Fiscal Year Annual Research Report
反復感染応答におけるメモリーCD8陽性T細胞集団の老化と維持機構に関する研究
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20790369
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
倉知 慎 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 助教 (00396722)
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Keywords | 免疫記憶 / 老化 / CD8陽性T細胞 / 二次リンパ組織 |
Research Abstract |
1.遺伝子発現解析によるmemory CTL老化現象の解析 前年度に樹立したmemory CTL老化モデル用いてnaive CD8一次、二次memory CTLを分取し、次世代DNAシークエンサーと研究代表者が所属する東京大学分子予防医学研究室にて開発されたSAGE(Serial Analysis of Gene Expression)法(Nature Biotechnology, 2004)を用いて、包括的遺伝子発現解析を行った。各ライブラリーから300万タグ以上の遺伝子発現断片を解析し比較したところ、合計で12090種の遺伝子が検出された。このうち一次memoryと二次memoryを比較すると、二次memoryで二倍以上発現が増加したのは1303個、二倍以上低下したのは976個であった。慢性感染症時などに発現が亢進するPD-1やCTLA-4などの抑制性受容体は二次memoryでは増加を認めなかったが、p21やKLRG-1などの老化関連遺伝子の発現が増加していた。このため、反復感染応答によるmemory CTLの老化現象は、慢性感染症時に見られるexhaustionとは異なる状態であると推察された。 2.一次memoryと二次memoryの細胞免疫学的解析 一次メモリーではCD62LhiCCR7hiのいわゆるセントラルメモリー(TCM)様であり、二次および三次メモリーではCD62LloCCR710のエフェクターメモリー(TEM)様であった。またその他のCTL表面マーカーであるCD127やKLRG-1、IFNgとTNFとIL-2を指標にしたサイトカイン産生能などと組み合わせて判断しても、一次メモリーはTCM、二次メモリー以降はTEM指向が強かった。同一個体内で異なる抗原経験回数のmemory CTLの次感染応答(分裂能)を競合的環境下で解析すると、一次メモリーはnaiveと同等の分裂能を示すが、二次・三次と進むに従って分裂予備能が低下し、より若いmemory CTLによって置換されることが確認された。
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Research Products
(3 results)