2008 Fiscal Year Annual Research Report
肺移植後慢性拒絶反応における気道上皮のアポトーシスに関する研究
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20790375
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岡崎 幹生 Okayama University, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (50467750)
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Keywords | 肺移植 / 急性拒絶反応 / 慢性拒絶反応 / 閉塞性細気管支炎 / アポトーシス |
Research Abstract |
まずコントロールとして、Balb/cの左肺をB6に片肺移植を施行した。移植から7日後に移植肺を分析したところ、病理組織学的には血管周囲および気道周囲に強い拒絶反応を呈していた。移植肺をフローサイトメトリー法で分析すると、CD8陽性T細胞/CD4陽性T細胞の比は3.0±0.3であった。次に、Balb/cの肺をB6に移植し、周術期にCTLA 4IgとMRlを投与することによってCD28/B7とCD40/CD40Lの共刺激経路を阻害したところ、病理組織学的にわずかな炎症が存在するのみで、拒絶反応は強く抑制されていた。移植肺内のCD8/CD4比は1.0±0.1であった。次に、Balb/cをドナーとし、Bcl-2トランスジェニックマウス(B6)をレシピエントとし、左片肺移植を施行し、周術期にCTLA 4IgとMR1を投与した。7日目に犠牲死させ、移植肺を分析したところ、病理組織学的に移植肺は強く拒絶されており、免疫寛容は阻害されていた。CD8/CD4比も3.0±0.2に上昇していた。これらの結果から移植肺内のCD8/CD4比が拒絶反応と強く相関しており、肺移植後の拒絶反応および免疫寛容にCD8陽性T細胞が強く関与していると示唆された。また、Bcl-2がCD8陽性T細胞のアポトーシスを抑制し、拒絶反応が抑制されなかったと考えられた。Bcl-2トランスジェニックマウスを用い、CTLA 4IgとMR1を投与した群では、予想以上に強い拒絶反応が血管周囲および気道周囲にみられた。しかし、TUNEL染色で分析したところ、気道上皮細胞自体のアポトーシスに大きな変化はなかった。今後は引き続き、Bcl-2ノックアウトマウスを使用したり、アポトーシス誘導遺伝子を導入して気道上皮細胞のアポトーシスの研究を続ける必要があると考えられた。
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