2008 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍関連マクロファージを標的とした抗葉酸受容体βイムノトキシンの開発と前臨床試験
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20790377
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
永井 拓 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (90363647)
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Keywords | 癌 / マクロファージ / 抗体製剤 / 前臨床試験 |
Research Abstract |
がんの増殖や転移は、免疫反応が促進的に作用することがある。この免疫反応において中心的な役割を担う細胞のひとつに、腫瘍関連マクロファージ(以下TAMs)が挙げられる。TAMsは種々の血管新生因子やサイトカインを分泌`し、血管新生を介した腫瘍の増殖を促進すると共に、抗腫瘍免疫を抑制する。 申請者らは、葉酸受容体β(FRβ)が炎症時の組織型マクロファージ(関節リウマチ滑膜)に高発現し、末梢血単球や非炎症組織のマクロファージでは発現しないか非常に発現が低いことをヒントに、TAMsの局在とがんの悪性度の相関性が指摘されているヒト悪性脳腫瘍の組織標本をマウス抗ヒトFRβモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学的解析を行ったところ、全ての悪性脳腫瘍のTAMsにてFRβ陽性マクロファージの局在を確認した。さらに、マウスを用いた脳腫瘍移植モデル(ヌードマウス/ラットグリオーマ移植モデル)においても、同様の所見を見出した。FRβ発現マクロファージの選択的除去を目的としたリコンビナントタイプイムノトキシン(ラット抗マウスFRβモノクローナル抗体遺伝子と遺伝子改変型緑膿菌毒素であるPE38遺伝子を融合させたタンパク質)を作製し、上記脳腫瘍移植モデルにて検討したところ、イムノトキシンの投与は有意にがんの増殖を抑制した。また、イムノトキシンの投与は、がん周囲の血管新生の抑制を介して周囲のがん細胞の増殖を抑制(細胞死を誘発)することも確認できた。以上のことから、イムノトキシンによるFRβ発現マクロファージの選択的除去は、がん治療において、有効であることが示唆された。現在、他の固形がん(卵巣がん、乳がん)に対する有効性を検討中である。
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Research Products
(5 results)