2008 Fiscal Year Annual Research Report
マウス腸間膜に新たに見出したT前駆細胞を含むリンパ集積の機能解析
Project/Area Number |
20790378
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
茂呂 和世 Keio University, 医学部, 助教 (90468489)
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Keywords | c-Kit / Sca-1 / FALC / NH細胞 |
Research Abstract |
マウス腸間膜において発見したリンパ球の集積(FALC : fat associated lymphoid cluster)には、Lin^-Sca-1^+c-Kit^+細胞(NH細胞 : natural helper cell)が多数存在する。NH細胞はその表現型からT前駆細胞である可能性が示唆されたため、OP9システムを用いた培養実験、遺伝子解析などが行われた。その結果、NH細胞はT前駆細胞ではなくこれまで報告にないリンパ球であることが示唆された。 NH細胞はT前駆細胞を成熟T細胞へと分化させることで知られるOP9-DLL1細胞との共培養でT細胞へと分化せず、c-KitおよびSca-1の発現を保ったまま長期にわたり生存し続けた。Microarray解析では、T細胞受容体関連遺伝子の発現は見られず、IL-4、IL-5、IL-6、IL-13などのTh2型サイトカイン関連遺伝子を高発現する細胞であることが示唆された。RT-PCR法による遺伝子解析からNH細胞はGATA3、Maf、Junb、Stat6などのTh2細胞関連遺伝子の発現は認められたが、Rag、pre-Tαなど、T細胞関連遺伝子の発現は認められなかった。NH細胞はThy-1やIL-7Rαなどの発現からlymphoid tissue inducer(LTi)であることも示唆されたが、LTiの分化に必須とされるRorc遺伝子の発現は認められなかった。NH細胞は電顕像や活性化マーカー発現からリンパ球であることが分かっており、NH細胞が高いTh2サイトカイン産生能を兼ね備えた新しいリンパ球である可能性が示唆されている。
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