2009 Fiscal Year Annual Research Report
マウス腸間膜に新たに見出したT前駆細胞を含むリンパ集積の機能解析
Project/Area Number |
20790378
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
茂呂 和世 Keio University, 医学部, 助教 (90468489)
|
Keywords | ナチュラルヘルパー細胞 / NH細胞 / FALC / Th2サイトカイン / IL-33 / IL-25 / c-Kit / 寄生虫 |
Research Abstract |
本研究ではマウス腸間膜脂肪組織にこれまで報告にないリンパ組織を発見し、FALC(fat-associated lymphoidc cluster,)と名付けた。フローサイトメトリーによる解析を行った結果、FALCにはLineageマーカー(CD3,CD4,CD8α,CD11c,CD19,TCRβ,TCRγδ,B220,NK1.1,Mac-1,Gr-1,FcεR1α)陰性でc-KitおよびSca-1を発現する細胞が20~40%存在することが明らかになった。その後の研究から、FALC Lin^-c-Kit^+Sca-1^+細胞はその分化にIL-7を必要とし、IL-2刺激によって増殖し、IL-33刺激による爆発的なTh2サイトカイン産生をする新しいリンパ球であることが明らかになった。そこで、ナチュラルキラー細胞がIL-7依存性に分化し、IL-2刺激によって増殖し、Th1サイトカインを産生することに鑑み、FALC Lin^-c-Kit^+Sca-1^+細胞をナチュラルヘルパー(NH)細胞と名付けた。FALC、およびNH細胞はマウス腸間膜だけでなく腎臓や生殖器周囲の脂肪組織、また、ラットやヒト腸間膜にも存在することが明らかになっている。 NH細胞の最も驚くべき特徴はそのサイトカイン産生能の高さにある。NH細胞は恒常的にIL-5、IL-6、IL-13などのTh2型サイトカインを産生するが、これらのサイトカイン産生はIL-33刺激により数千倍に増強される。これまでにNH細胞から恒常的に産生されるIL-5が腹腔に存在するB1細胞の維持・増殖を担うこと、IL-6と共に働くことでB細胞のIgA産生を促進することを明らかにしている。 5000個のNH細胞をIL-33存在下で5日間培養した場合、産生されるIL-13量はμg単位に達する。そこで、IL-13によって誘導される杯細胞過形成が排虫に重要であることが知られているNippostrongylus brasiliensisをT細胞・B細胞欠損Rag2^<-/->マウス、およびT細胞・B細胞・NK細胞・NH細胞欠損γc^<-/->Rag2^<-/->マウスに感染させ、NH細胞由来IL-13の重要性について検討した。その結果、Rag2^<-/->マウスでは野生型と同等のIL-13産生が見られたが、γc^<-/->Rag2^<-/->ムマウスではIL-13産生および排虫は全く見られなかった。これに対し、NH細胞を2.5×10^5個移入したγc^<-/->Rag2^<-/->マウスでは速やかなIL-13産生と杯細胞過形成の回復が確認された。
|