2009 Fiscal Year Annual Research Report
リソソーム蛋白LAPTM5によるTCR発現レベルの制御機構の解明
Project/Area Number |
20790382
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大内田 理佳 The Institute of Physical and Chemical Research, 免疫多様性研究チーム, 研究員 (80391887)
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Keywords | T細胞抗原受容体(TCR) / リソソーム / 自己免疫疾患 |
Research Abstract |
平成20年度の研究成果より、LAPTM5がT細胞表面のTCR発現量を調節し、T細胞の過剰活性化を抑制してアレルギー反応を抑えることが判明したことから、LAPTM5の欠損により自己免疫疾患が誘発される可能性が考えられた。そこで平成21年度においては、LAPTM5欠損マウスの長期飼育下における自己免疫疾患の自然誘発を観察した。その結果、劇的な自己免疫疾患の症状は観察されないものの、LAPTM5欠損マウスでは血中のIgM量、抗dsDNA IgMおよびIgG抗体が有意に上昇していた。またLAPTM5欠損マウスでは腎糸球体において自己抗体の沈着も観察された。以上のことから、SPF環境下で自己免疫疾患が自然発症するほどの強い制御破綻はないものの、LAPTM5が自己免疫疾患に関わる可能性を示唆し、誘導実験系を用いてより明瞭な結論が出せると確信する。また、TCR制御因子であるユビキチンリガーゼCbl-bとの機能的相互作用を検討するため、LAPTM5とCbl-bの二重欠損マウスを作製し解析したところ、二重欠損T細胞における抗原刺激後のTCR量がそれぞれの野生型および単独欠損マウスと比較して顕著に上昇していた。しかしながら、長期飼育した二重欠損マウスでは明らかな自己免疫疾患の症状は示さず、各単独欠損マウスと同程度の血中IgM量ならびに抗dsDNAの出現に留まった。以上の結果より、二重欠損による相乗効果が見られなかったことから、LAPTM5およびCbl-bがTCRの同じ調節経路で働く可能性が示唆される。今後、LAPTM5とCbl-bがどのように協調的にTCRの発現量を調節しているのか、これまでに知られていない新しいメカニズム解明につながる点で極めて意義深い。
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Research Products
(1 results)