2009 Fiscal Year Annual Research Report
アウトカム評価にもとづく医療・介護サービスの質に関する研究
Project/Area Number |
20790385
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金子 さゆり Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 助教 (50463774)
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Keywords | 医療の質 / 介護サービス / アウトカム評価 |
Research Abstract |
本研究は、在宅領域における医療・介護サービスの質評価についてアウトカム評価による検討を行い、科学的かつ合理的な在宅医療・介護サービス提供について検討するための基礎資料を得ることを目的とする。本年度は、在宅療養者の多くを占める脳卒中患者とその家族を対象に、在宅療養開始時(T0)と脳卒中発症から1年目(T1)あるいは2年目(T2)の状態について、SF-36とEQ-5Dを用いた療養者のQOL評価、EQ-5Dを用いた家族のQOL評価と介護負担感に関する調査を行い、さらに在宅療養中に受けた医療と介護サービスの内容についてケアプランやカルテ等の記録物より情報を得た。在宅療養開始時(T0)の療養者の平均年齢は65.7歳、平均入院期間は176.2日、要介護度の内訳は要介護2が30.0%、要介護3が13.3%、要介護4が46.7%、要介護5が10.0%であった。療養者のQOLをSF-36の下位尺度(0-100)でみると、身体機能(PF)は35.0、日常役割機能;身体(RP)は27.6、体の痛み(BP)は52.5、全体的健康感(GH)は44.4、活力(VT)は30.4、社会生活機能(SF)は45.8、日常役割機能;精神(RE)は27.2、心の健康(MH)は43.6であった。また、QOLをEQ-5Dでみると効用値は0.30であった。これらの結果はこれまで報告されている脳卒中患者のQOL(退院時の状態)に比べて低く、このことは2006年の診療報酬改訂と関連があるものと推察される。他方、在宅療養開始時(T0)と脳卒中発症から1年後(T1)の療養者のQOLは、SF-36とEQ-5Dのいずれにおいても大きな変化はみられず、脳卒中発症から1年後(T1)のQOL(EQ-5D:効用値)と在宅療養中に受けた医療サービスおよび介護サービスの内容との関連はみられなかった。今後、現在フォローアップ中の対象者の追加データをもとに、発症から1年目(T1)と2年目(T2)について再分析を行い、在宅医療・介護サービスのあり方について検討していく予定である。
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