2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790407
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
草川 森士 National Research Institute for Child Health and Development, 薬剤治療研究部, 共同研究員 (80462802)
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Keywords | 胚性幹細胞 / 薬物毒性 / 催奇形性 / 分化マーカー遺伝子 / 抗精神病薬 / 発生毒性 / 発達障害 |
Research Abstract |
申請者は、平成20年度から21年度までの科学研究費補助金・若手研究Bを受け、その研究課題のもとに、マウス胚性幹細胞(ES細胞)の分化誘導・発生毒性解析系の確立に取り組んできた。主に、マウスES細胞を用いた薬剤毒性試験(Embryonic Stem Cell Test; EST)法の応用、その有用性の検討、さらなる改良に努めている。試験薬剤として、代表的な抗うつ剤であるSSRIについてEST法による発生毒性試験を行ったところ、SSRIによる細胞障害性、分化障害性が観察された。また、三胚葉マーカー遺伝子の発現解析の結果から、SSRIが中胚葉、外胚葉分化に影響することが示唆された。これらの結果は、妊婦がSSRIを服用したことによる新生児の異常症例との関連性を示唆していた。このように、EST法は、妊婦の服用する薬剤による胎児への影響を予測できる試験系として、有用であることが確認された。今回の試験において、分化マーカー遺伝子の解析が測定項目の一つとして加えられ、さらに、神経分化誘導系も新たな検出系として取り入れられた。これらの改良によって、EST法の試験系としての幅を拡げることができた。私たちの身の回りには医薬品、農薬、化粧品など多様な化学物質が存在するが、これらのヒトに対する安全性評価は多岐に渡り行われる必要がある。特に、申請者は、成育医療の立場から、母親が摂取した薬物が胎児の発生にどのような影響を与えるかを調べている。多能性幹細胞を利用したin vitro毒性試験は、薬物の個体発生に及ぼす影響を解析する試験系として、創薬への応用が大いに期待される。また、動物実験の代替法としても期待ができ、社会への貢献は大きいものと考えている。
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