2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790409
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩崎 沙理 Hokkaido University, 大学院・保健科学研究院, 客員研究員 (60455631)
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Keywords | 単球 / CD8 / ヒト / 末梢血 / フローサイトメトリー / FcγRII |
Research Abstract |
本研究は、全血溶血法によるサンプル調整でフローサイトメトリーを行った際に、CD8陽性単球が検出される現象について、そのメカニズムの解析と病態との関連の解析を目的としている。 前年度の検討により,CD8陽性単球の検出について以下のことが明らかとなった.1)CD8陽性単球の検出には血清が必要である.2)血清中に含まれる可溶性CD8は,CD8陽性単球の検出との関連性には乏しい.3)CD8陽性単球のCD8はT細胞由来であり,T細胞から単球へのCD8の移動には両者の接触が必要である.4)抗CD8抗体のFc部分と単球上のFcγR II(CD32)の結合が関与している可能性がある.5)細胞膜や細胞骨格の流動性が必要である.5) CD8とともにCD3やTCRもT細胞から単球上へ移動する. これらを踏まえ、今年度の検討により、以下のことが明らかになった.1)単球へと移動しているのはNK細胞などのCD8分子ではなくT細胞上のCD8分子に他ならない.2)T細胞からのCD8分子の移動は単球のみならず,好中球などの顆粒球系細胞においても起こる. 以上の結果を総合し、必要な血清因子の存在下において,Tリンパ球上のCD8分子に抗CD8抗体が結合することにより,抗体のFc部分とFcγR II(CD32)を有する単球(ないし顆粒球)が結合してTリンパ球との間を架橋し,細胞膜の流動性や細胞骨格の変動を伴って,CD8やCD3,TCRといったTリンパ球上の機能分子が膜ごと単球(ないし顆粒球)へと移動することが証明された. 今回我々が見出した,本来単球自身が発現していないCD8分子が単球上に検出される現象は,全血溶血法によるフローサイトメトリーの盲点として重要な知見である.また,文献的に報告されているTrogocytosisと呼ばれる細胞間の膜移動現象に類似しており,抗CD8抗体によって誘導される新たな細胞間メカニズムとして,免疫学的な見地からも興味が持たれる。今後引き続いて,この現象の生理学的、病理学的意義を検討すること、この現象を規定する血清中の因子の解明が急務であると考えられる。
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Research Products
(4 results)