2008 Fiscal Year Annual Research Report
臨床検査法として有用な新しいHDL亜分画測定法の開発
Project/Area Number |
20790414
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
臼井 真一 Okayama University, 大学院・保健学研究科, 准教授 (50346417)
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Keywords | 臨床検査 / 臨床化学 / リポタンパク質 |
Research Abstract |
今年度の研究計画書に沿って実験を遂行した。 (1) サンドイッチELISA法によるHDL亜分画測定法の検討では、HDL粒子に含まれているとされる、アポAII、パラオキソネース、CETPなどに対する抗体の組み合わせで検出を試みた。その結果、Twee 20やTyloxapolなどの非イオン系界面活性剤を抗原抗体反応系に加えることで抗アポAII抗体と抗アポE抗体を使うELISAで検出できた。補足抗体に抗アポAII、検出抗体に抗アポE抗体を使用する場合と、逆に補足抗体に抗アポE、検出抗体に抗アポAII抗体を用いる方法を検討すると、両者はr=0.56(n=41, p<0.001の有意な相関を示したが、HDL-コレステロール濃度など、他の脂質パラメーターに対して両測定法は異なる相関を示し、同一成分が測定されていない可能性が浮上した。 (2) ELISA法で強いシグナルが得られたサンプルについてウエスタンブロッテイングを行った結果、抗アポAII抗体と抗アポE抗体の両方に反応する蛋白質が44kDa付近に検出され、また、還元状態ではこのバンドが消失することから、この蛋白質はアポAII-E複合体(ヘテロダイマー)であると推定された。 (3) 抗アポAII抗体を用いた免疫沈降法では、沈降するアポAII-E複合体の量が予想以上に少なく、肌ISA分析の結果と一致しなかった。 (4) FRET法によるアポAII-E複合体検出の試みでは有意なシグナルは得られなかった。蛍光標識された二次抗体を用いたことがその一因である可能性がある。 以上のことから、抗アポAII抗体と抗アポE抗体を使ったELISA系ではアポAII-E複合体を検出している可能性が示唆される一方で、免疫沈降法との値の乖離も認められ、実際に何を検出しているのかが明確にできなかった。今後はさらに、精製アポAII-E複合体を用いた添加試験などで確認する必要がある。
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