2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクター・ピロリ関連特発性血小板減少性紫斑病発症メカニズムの解明
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20790415
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
森本 徳仁 Kochi University, 医学部・附属病院, 臨床検査技師 (60398055)
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Keywords | ヘリコバクター・ピロリ / 紫斑病 / 抗原抗体複合体 |
Research Abstract |
Helicobacter pylori(以下H. pylori)感染によって引き起こされる特発性血小板減少性紫斑病(ITP)発症メカニズムとして、免疫複合体(H. pylori低分子蛋白-血小板-抗血小板抗体)が本疾患発症に関与する可能性を示唆したことからH. pylori低分子蛋白の同定を目的として実験を行っている。 これまでに、H. pylori関連cITP患者血清のイムノブロットにて反応性を認めたH. pylori 26695株の二次元電気泳動スポット(蛋白)のLC-MS/MS解析からH. pylori 17 kDaの候補蛋白を検索し11個の候補蛋白を得た。各候補遺伝子は発現プラスミドでconstructを作製し、大腸菌内で過剰発現させHis融合リコンビナント蛋白(以下、融合蛋白)を作製した。これら11個の融合蛋白を各cITP患者血清(H. pylori陰性群(HP-N群)、H. pylori陽性群(除菌奏効群(CR群)および無効群(NR群))を使用したイムノブロット法にて、各融合蛋白に対する反応性を解析した。さらに、多血小板血漿を使用した血小板凝集能試験にて各融合蛋白の血小板凝集への影響を解析した。 LC-MS/MS解析で得られた11個の融合蛋白に対する反応性をイムノブロットで解析した結果、1個の蛋白(H. pylori膜蛋白)を見出した。本融合蛋白のcITP患者血清との反応性はHP-N群で0.0%(0/2)およびNR群で40.0%(2/5)に対しCR群では71.4%(5/7)と、CR群のみに有意に高い反応性が認められた。さらに本融合蛋白による血小板凝集能を検討した結果、強い血小板凝集能を有することも確認された。 今後、見出したH. pylori膜蛋白の血小板との結合性およびその結合部位の解析を進め、本膜蛋白がcITP発症に関与する分子メカニズムを解明する。
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Research Products
(2 results)