2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクター・ピロリ関連特発性血小板減少性紫斑病発症メカニズムの解明
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20790415
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
森本 徳仁 Kochi University, 医学部附属病院, 臨床検査技師 (60398055)
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Keywords | ヘリコバクターピロリ / 紫斑病 / 抗原抗体複合体 / ヘリコバクターピロリ膜蛋白 |
Research Abstract |
Helicobacter pylori(以下H. pylori)感染によって引き起こされる特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は、H. pyloriの除菌により速やかに血小板数が回復し治癒することが知られているが、そのメカニズムはほとんど解明されていない。我々は、H. pylori低分子蛋白(17kDa)が血小板に結合しさらに抗血小板抗体が結合する免疫複合体が本疾患発症に関与する可能性を示唆しており、これまで血小板に結合するH. pylori蛋白の同定を進めてきた結果、H. pylori膜蛋白を同定した。本年度は、本蛋白による血小板凝集試験、血小板結合試験および本蛋白に対する抗体を作成しウェスタンブロット解析および免疫沈降法により詳細な解析を行った。 まず、H. pylori膜蛋白は発現プラスミドを使用してHis-Tag融合リコンビナント蛋白(以下、融合蛋白)として作製した。融合蛋白に対する患者血清の反応性は、H. pylori陽性除菌無効群で40%と低く、H. pylori陽性除菌有効群で71.9%とCR群で高い反応性が認められた。さらに、健常人血小板を用いて、融合蛋白による血小板凝集能を解析した結果、強い血小板凝集能を有することも明らかとなった。 H. pylori膜蛋白に対する抗体を作成し詳細な解析を行った。H. pyloriに対する本抗体の反応性をイムノブロットにて検討した結果、約17kDa付近にバンドを認めた。健常人血小板にH. pyloriライセートを添加し反応させたのち、抗血小板抗体で免疫沈降を行いSDS-PAGEにて分離後、H. pylori膜蛋白に対する抗体を用いてイムノブロットを行った結果、約17kDa付近にバンドを認めたことから、血小板にH. pylori膜蛋白が結合していることが明らかになった。現在H. pylori感染マウスにおける血中での本蛋白の動態を解析している。
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Research Products
(4 results)