2010 Fiscal Year Annual Research Report
有機酸代謝異常症を対象とした簡易マススクリーニング法のシステム化に関する研究
Project/Area Number |
20790417
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
吉田 秀幸 福岡大学, 薬学部, 准教授 (20301690)
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Keywords | 分析化学 / マススクリーニング / ジカルボン酸 / 有機酸代謝異常症 / エキシマー蛍光 / 蛍光誘導体化 / 生体計測 / 前処理 |
Research Abstract |
本研究は,様々な極微量成分の高感度かつ特異的計測を可能とするエキシマー蛍光誘導体化法を用いて,有機酸代謝異常症(グルタル酸尿症,メチルマロン酸尿症やCanavan病など)に起因する生体中のポリカルボン酸(アジピン酸,メチルマロン酸やN-アセチルアスパラギン酸など)を効率的に計測することにより,上記疾病の簡便・迅速なマススクリーニング法を構築・システム化することを目的としている。研究の最終年度となる本年度は,二年度目までに行った健常人由来試料を用いた検討の結果を踏まえて,実試料計測への適用について検討した。 1.蛍光プレートリーダ解析:蛍光プレートリーダを用いることで,上記ジカルボン酸を含む全ポリカルボン酸の総量を瞬時に多検体一斉計測することができた。健常人尿試料に対する添加検量線は良好な結果を示し,比較のために用いたα-ケトアジピン酸尿症患者試料を検知することに成功した。 2.HPLC精査分析:1と同一の反応液をHPLC分析すると,各ポリカルボン酸種の同定・定量が可能だった。健常人と患者との間で,尿中に存在しているジカルボン酸の種類・量に大きな違いが見られた。 3.相関性の検証:1と2の各定量値について相関性を比較したところ,検討した全ての尿試料(健常人,患者,健常人に添加したもの)について,2の各ポリカルボン酸定量値を積算した値と1の総ポリカルボン酸量の間には高い相関性が見られた。 4.システム化の構築:1~3を受けて,1の一斉計測で明らかな陰性試料を除去できる可能性が示された。1と2の組み合わせにより,多数存在する健常人試料に時間をかけることなく,1で抽出された陽性(擬陽性)試料のみの精査分析をじっくりと行うことができる,という二段階のマススクリーニングシステムを構築することができた。
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Research Products
(39 results)