2009 Fiscal Year Annual Research Report
難分解性フッ素化合物n-EtFOSEの胎児期、幼若期吸入曝露影響の解明
Project/Area Number |
20790420
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
坂 晋 Suzuka University of Medical Science, 薬学部, 助手 (30399828)
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Keywords | 次世代影響 / 内分泌撹乱物質 / 環境 / 衛生 |
Research Abstract |
本研究では、平成21年度において、1)妊娠期における経口曝露評価に焦点をあてて実施した。 Wistar系ラットを用いて、妊娠2日目から妊娠19日目まで0,1,10mg/kg/dayの各条件(各条件それぞれ5匹ずつ)において、有機フッ素化合物N-EtFOSEの経口曝露を実施した。妊娠1日目から妊娠10日目ならびに15日目までの各妊娠期間における母ラットの体重増加量は0mg/kg/day群(21.98±6.74g,37.40±8,65g)と比較して10mg/kg/day群(12.18±5.01g,22.72±6.91g)では有意に低下していた。出生時の雄胎仔ラットにおいて、出生時体重は0mg/kg/day群(3.46±0,23g)と比較して10mg/kg/day群(3.27±0.27g)では有意に低下していた。また相対胎盤重量は、0mg/kg/day群(0.124±0.014g)と比較して10mg/kg/day群(0.134±0.014g)では有意に増加していた。その一方、雌胎仔ラットにおいても、出生時体重や相対胎盤重量では雄胎仔と同様の傾向がみられた。また、相対肺重量において、0mg/kg/day群(0.025±0.007g)と比較して10mg/kg/day群(0.031±0.008g)では有意に増加していた。 雄胎仔の胎盤より抽出したRNAを用いて、マイクロアレイ法により発現プロフィール解析を行ったところ、514個の遺伝子において有意な発現量の変化が認められた。変化の認められた遺伝子のうち胎児の発育に関与すると考えられるものをリアルタイムPCR法により確認したところ、coll8al,sod3,Tfの変化量が0mg/kg/day群と比較して、1mg/kg/day群ならびに10mg/kg/day群の各群において有意に上昇していた。これらの遺伝子は血管生成や低酸素症に関与する遺伝子であることから、N-EtFOSEによって胎盤の血管生成が阻害されていることが考えられる。
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