2008 Fiscal Year Annual Research Report
地域住民における生活習慣を考慮した循環器疾患危険因子の遺伝的素因の探究
Project/Area Number |
20790424
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
高嶋 直敬 Shiga University of Medical Science, 医学部, 特任助教 (80435883)
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Keywords | 循環器疾患 / 分子疫学 / 社会医学 |
Research Abstract |
本年度は高血圧、循環器疾患発症に影響を与える遺伝的素因について解析を行うために、必要なデータベースを高島地区及び信楽地区のデータベースを構築した。このデータベースを用いて遺伝素因と循環器疾患及びその潜在的マーカーであるbaPWVを用いて検討した。 高血圧の遺伝的素因についてはこれまで多くの研究がおこなわれているが、血圧に強い影響を及ぼすものは少ない。塩分感受性遺伝子保因者は塩分摂取を抑制することで食塩摂取量に影響を受け、過小評価している可能性について検討した。血圧との関係が報告されているAGTm235tなど高血圧に影響を与える塩分感受性遺伝子の遺伝型と尿中の塩分排泄量より推定した塩分摂取量について検討した。AGTm235tは血圧と推定塩分摂取量などを調整しても有意に関連した(P=0.021)。しかしAGTm235tを含む塩分感受性遺伝子と推定塩分摂取量との間に有意な関連を認めなかった。この結果からは塩分感受性遺伝素因を持つものが塩分摂取を抑制する仮説は支持されなかった。今後、より大規模な集団での検討が必要と思われる。 動脈硬化と関連する炎症マーカーであるCRP遺伝子について検討した。平均CRP濃度が低い遺伝型をaa、高い遺伝型をAAとした場合に、AAではaaと比較して平均CRP濃度で1.8倍の上昇を認めた(P<0.01)。baPWVと血中CRP濃度との間は交絡要因を調整しても有意であったが、CRPの遺伝型は有意な関連を認めなかった。またbaPWV3分位ではCRP濃度はaA、AAでの第二分位はaaの第三分位より高値であった。このことは血中のCRP濃度を用いた循環器疾患リスク評価に遺伝型を考慮しない場合はaaの遺伝型では過小評価に、AAの遺伝型では過大評価につながる可能性があることを示唆している。
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