2009 Fiscal Year Annual Research Report
地域住民における生活習慣を考慮した循環器疾患危険因子の遺伝的素因の探究
Project/Area Number |
20790424
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
高嶋 直敬 Shiga University of Medical Science, 生活習慣病予防センター, 特任助教 (80435883)
|
Keywords | 循環器疾患 / 分子疫学 / 社会医学 |
Research Abstract |
本年度は前年度に構築した遺伝子及びベースライン時の血液・検査所見等を統合したデータベースを用いて、遺伝的素因と血圧や糖尿病などの循環器危険因子への影響について検討を行った。 動脈硬化と関連する炎症マーカーであるCRP遺伝子多型(rs1205)はbaPWVに影響を与える可能性がある因子を調整した後も有意に関連することを明らかにした。さらに、これまでの報告同様に今回の解析対象者でもCRP濃度とbaPWV値は正相関を示した。しかし、今回の解析ではこれまでの報告同様にTT遺伝型を持つ対象者に対してCC遺伝型を持つ対象者のほうが平均CRP濃度は低い(p=0.004)にもかかわらず、baPWV値はCC遺伝型を持つグループ有意にが高い値を示した(p=0.03)。このことはCRPの遺伝的素因によるCRP値の上昇は動脈硬化の進展に影響を及ぼさない可能性を示唆するのみならず遺伝的に高いCRP値が何らかの保護的な役割を果たしている可能性を示唆するものである。今後、同様の結果が異なった集団での検証が必要と思われる。また循環器疾患の発症や死亡等との関連についてはイベント数が少ないことから今回は検討できなかった。今後、引き続き検討を行いたい。 またタイピングが済みのACE、AGT、CYP11B2、ADD1などの血圧と関連が報告されている遺伝子の変異やsolute carrier family遺伝子の変異などのタイピングを行っている遺伝子変異あるいはその集積と循環器危険因子との関連について検討を行ったが、推定塩分摂取量を含む既知の危険因子を調整後に有意な関連を認める遺伝子変異は確認できなかった。さらに、循環器疾患との関連でナトリウム利尿ペプチドと心電図上左心肥大とのの関連についても検討した。ナトリウム利尿ペプチドであるNPPA、NPPCの遺伝子変異と心電図上左心肥大とは有意な関連は認めなかった。
|
Research Products
(1 results)