2008 Fiscal Year Annual Research Report
ワークプレイス・トラウマの心理社会的影響並びに予防法・介入法に関する実証的研究
Project/Area Number |
20790429
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
大岡 由佳 Tezukayama University, 心理福祉学部, 講師 (10469364)
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Keywords | ストレス / トラウマ / 職場 / 医療福祉 |
Research Abstract |
ワークプレイス・トラウマの問題は、自らの職務遂行中に遭遇する出来事によって引き起こされるトラウマ(心的外傷)を指すが、消防隊員や警察官、看護職員をはじめとするヒューマンサービス業において注目されてきた。筆者は過去に消防隊員や看護職員の職場トラウマの実態調査を行い、それらの結果に基づいて、惨事ストレスマニュアルや啓発冊子等を作成してきた経緯がある。 本研究では、上記研究を発展させる形で、労働者の職場における心的外傷(ワークプレイス・トラウマ)によって被る心理社会的影響を特定し、その予防法並びに介入法について検証していくことを主眼においた。本研究の最終目標は、1. ワークプレイス・トラウマの発生要因の特定、2. ワークプレイス・トラウマが及ぼす影響と就労状況の関連性の検討、3. ワークプレイス・トラウマの予防法と介入法の検証を行うことである。 平成20年度においては、これから4カ年にわたって研究を実施するにあたって、もっとも意義のある研究対象分野を選定し、その分野の過去の知見や関係者の状況を明らかにすることが課題であった。そこで、国内外の文献整理と児童福祉や精神保健の専門家への面談を通して、現状分析を行った。 本年度の結果としては、多岐にわたる文献整理から、現在、トラウマの事態が深刻であるにもかかわらず研究に着手されていない分野が福祉、とくに児童福祉分野にあることが明らかになった。児童相談、要保護児童対策に従事する、特に虐待関連に関わる職員の職務遂行に伴う保護者対応の業務負担は甚大であり、児童福祉司に対する保護者からの暴言暴力などによるトラウマや疲弊の関連性を早急に解明する必要性が認められた。また、疲弊した職員が休職や配置転換となったり、刑事告訴に至った事例も存在することから、それらのケアの対策を検討していくことも必須であることが確認された。これらの児童福祉分野の実態を明らかにするべく、来年度からは具体的な質的・量的調査を実施していくことになった。
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Research Products
(1 results)